■ 結核菌の直接検出法, MTD法について
【質問】MTD法とは, どんな検査方法ですか???
 

【回答】現在, 複数種類の遺伝子増幅技術を用いた, 検体からの結核菌, Mycobacterium tuberculosis検出試薬が開発, 市販されています。そのひとつがMTD法 (Mycobacterium Tuberculosis Directの略称) で, 米国カリフォルニア州サンディエゴ市にあるGenProbe社が製造, 販売しています。MTD法は, transcription-mediated amplificationという遺伝子増幅法を原理とする試験方法で, M. tuberculosis菌体に含まれる16S rRNAを増幅対象とし, 増幅産物をacridinium esterで標識したM. tuberculosisに特異的なDNAプローブとハイブリダイゼーションさせてM. tuberculosisを検体 (喀痰) より直接検出することができます。1995年に米国食品医薬品局 (Food and Drug Administration; FDA) によって臨床応用が認可され, 1998年5月にはその第二世代の試薬, MTD2が認可されました。最近報告された評価成績では, 感度100%, 特異度99.6%と, 極めて優れた性能を示し, MTD2では約3時間30分で検査結果が得られることから迅速性にも優れています。

参考文献
山根誠久: 遺伝子診断による結核菌検出の実際. Med. Technol., 25: 601-607, 1997.
Chedore P and Jamieson FB: Routine use of the Gen-Probe MTD2 Amplification Test for detection of Mycobacterium tuberculosis in clinical specimens in a large public health mycobacteriology laboratory. Diagn. Microbiol. Infect. Dis., 35: 185-191, 1999.

(琉球大学・山根 誠久)

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