03/09/05
■ “紫色尿バック症候群”について
【質問】
 泌尿器科に勤務する看護師です。すみませんが良く分からないので教えていただきたいのですが・・・

 便秘がちで, 水分摂取量が少ないだけで, 尿中インジカンの濃度が高くなるのでしょうか??? また, 水分摂取量が多く, 下痢気味の方でもカテーテルのルートが紫色の方がいます。それはなぜでしょうか???

よろしくお願いします。

【回答】
 ご質問の回答が遅くなりまして申し訳ありません。

(1) 便秘がちで,水分摂取量が少ないだけで,尿中インジカンの濃度が高くなるのでしょうか???

 尿中インジカンの濃度が高くなる原因としていくつかあげられますが,特にその要因の一つとして“便秘”があげられます。便秘になると糞便が腸内に停滞し,腐敗や発酵が進み,そのため過剰に増殖した腸内細菌によって糞便内のトリプトファンがインドールに分解されます。インドールは腸管から吸収され,肝臓で硫酸と結合してインジカンとして尿中に排泄されます。このように便秘症では腸内細菌の増殖により尿中にインジカンが多量に排泄され,インジカンの濃度が高くなります。

(2) 水分摂取量が多く,下痢気味の方でもカテーテルのルートが紫色になるのでしょうか???

 インジカンの生合成は普通の健康な人でも行なわれ,わずかに尿中に排泄されます。膀胱留置カテーテルを装着した患者さんは尿路感染を起こす危険性が高いため,多量の水分を摂取することは導尿チューブ内の浮遊物を除去し,つまりを防ぐ予防効果があります。また排尿を頻回に行なうことで, 膀胱内の細菌を減少させることができます。しかし,長期にカテーテルを装着しますと下痢気味か否かに関わらず尿路感染症が (診断されるか否かに関係なく) しばしば起こり,尿中のインジカンがバック内に蓄積され,細菌によってインジゴブルーとインジルビンに分解・生成されることによって紫色に呈色します。

(琉球大学・中村 広)

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