■軟膏塗布の方法について | |
【質問】
病棟勤務の看護師です。病棟は混合病棟なのですが, 脳外科, 耳鼻科, 形成外科, 歯科があります。先日, 蜂窩織炎で入院されている患者さんから質問がありました。 患者さんは患部 (左足背) にシャワー浴した後, クロマイワセリンを塗布し, ガーゼ保護という処置を受けられていました。そのクロマイワセリン塗布するとき, 未滅菌手袋を使用して軟膏びんからすくい出し, 塗布しました。すると, “未滅菌手袋で塗っては菌がついているのだから感染を起こすのではないか, また軟膏びんの中で未滅菌手袋に付いていた菌が繁殖して, びんの中が汚染されるのではないか”と疑問を持たれました。病棟では, 滅菌された舌圧子を用いて塗る看護師と未滅菌手袋を用いて塗る看護師がいたため, そこも気になった様子です。 私自身は, 皮膚は所詮滅菌することなどできないのだから, 厳密な清潔操作をする必要はなく, また箱から取り出したばかりの未使用の未滅菌手袋についている程度の細菌が感染を起こすほど軟膏びんの中で繁殖することはありえないと考えています。患者さんを納得させられるよい資料が欲しいのですが, なかなかよいものが見つからないので質問させていただきました。 質問内容をまとめると: (1) 軟膏を患部に塗るときは清潔操作をする必要があるのか??? (2) 未滅菌手袋 (商品名: トレフィットNP) についている程度の菌が, クロマイワセリン軟膏の入ったびんのなかで感染を起こすほどの繁殖をするのか??? です。よろしくお願いします。 【回答】
(2) クロロマイセチンはブドウ球菌, 連鎖球菌, 大腸菌, プロテウス属などに有効ですが, それ以外の菌や, 耐性菌がどれだけ病棟の環境に存在するかで対応は異なります。現実問題としては, 軟膏 (抗生剤) の瓶が未滅菌手袋で細菌汚染をうけ, その軟膏を使用したために感染が広がったという報告はまだ聞いたことがありません。 今回の質問の趣旨とはずれるかと思いますが, 患者様が疑問を持ったのは, 処置をする看護師間で軟膏塗布のやり方が違う (滅菌された舌圧子を用いて塗る看護師と未滅菌手袋を用いて塗る看護師がいる) からではないでしょうか??? 標準業務手順書を病棟で作成し, だれがやっても同じ処置をすれば, 患者様も納得されると思います。「患者さんを納得させられるよい資料が欲しいの」とのことですが, 残念ながら, そのような報告を見たことがありません。是非, 看護研究のテーマとして取り組んでみてください。 (琉球大学・糸嶺 達)
【質問者からのお礼】
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