02/08/08
■ 抗酸菌培養でノカルジア属の細菌が発育してきた
【質問】
 液体培養で陽性になり, チール・ネルゼン染色を行ったところ, Mycobacterium属以外の菌と思われる菌 (ノカルジア属???) の発育がみられます。NALC-NaOH処理で培養をおこなっているのですが・・・。小川培地上でも少し違う感じで発育しています。結果を出すうえで, ノカルジア属であると判断する良い方法はありますか。

【回答】
 御質問の件ですが, NocardiaはNALC-NaOHでは死滅処理できないと思われます。液体培地に発育してくると最初は白色ですが, 後で黒ずんだ褐色になるかと思います。Nocardiaの判断は抗酸菌染色で脱色を塩酸ではなく, 0.5%硫酸で行えば, 分岐した長い菌糸および集落はフィラメント状に染まります。ベクトン・ディッキンソン社よりノカルジア用鑑別培地があります。
 

項 目
N.asteroides
N.brasiliensis
N.otitidiscaviarum
S.somaliensis
A.madurae
カゼイン
チロシン
キサンチン
−[注1]
スターチ
   
尿  素
マンニット
キシロース
エスクリン
45℃発育
+[注2]
−[注2]

 もし検体が保存されていれば, グラム染色 (陽性桿菌), 抗酸菌染色および血液寒天培地に培養され, 確認されるのが良いかと思います。

(国立都城病院・斎藤 宏)
[注1]S. somaliensis のキサンチンは, Manual of Clinical Microbiology (ASM, 第6版)では(+)と記載されているが, 戸田新細菌学 (改訂32版) およびClinical Microbiology Procedures Handbook (ASM) では(−)と記載されており, (−)が正しいと考えられる。

[注2]N. asteroidesは戸田新細菌学 (改訂32版) で発育すると記載されている。 他方Manual of Clinical Microbiology (ASM, 第6版)ではN. asteroides, N. otitidiscaviarum, いずれも(±)であると記載されている。

(山根誠久)

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