■ ニューキノロン耐性の淋菌について
【質問】福岡のセンターのものですが, ピル解禁後, 生殖器由来の検査依頼が多く, 特に淋菌の検出率が上がっているように感じます。なかでもニューキノロン耐性が5割ぐらいあるように思えます。世間では, ニューキノロン耐性率は3〜5割と言われていますが, 本当にそのくらいなのですか?またニューキノロン耐性の場合, 治療はどんな薬剤をつかうのですか?よろしくお願いします。
 

【回答】
1. ニューキノロン耐性の割合について
 吉田らの報告によると, OFLX耐性の淋菌の頻度は, 1994年が64%, 1996年が62.5%と報告されています。また, その耐性率には大きな変化が見られないものの, 「耐性の高度化」がおこっていると報告しています。これらの株は, 全国16施設から集めた菌株を対象にMICを測定していますので, およその耐性化の平均値と考えてよいと思います。

 日本化学療法学会誌 vol 46. No 9. 343-362.
2. 治療薬剤について(PPNG: ペニシリナーゼ産生菌も考慮しました)
 ニューキノロン耐性菌と判明した場合, 下記のメニューが有効です。
 1) Ceftriaxone(250 mg)筋注1回 + ミノサイクリン200 mg分2, 7日間またはテトラサイクリン1 g 分4, 7日間
 2) Ceftriaxone (250 mg) 筋注1回 + ステアリン酸エリスロマイシン800〜1200 mg 分4, 7日間
 *妊婦などでテトラサイクリンが使用できない場合に有効。
 3) Cefixime 50〜100 mg 分2, 7日間 + ミノサイクリン(同上)
 *経口剤の組合わせ
備考: 淋菌が検出される場合, 同時にクラミジア感染をともなっていることが多いため, 上記1)〜3)のメニューを確実な治療として推奨します。また, Ceftriaxoneの代りにSulbactam/Ampicillin(1.5 g)の筋注も有効です。さらに, 本年6月に発売予定のアジスロマイシンも極めて有効ですのでEMの代りになります。以上, 参考にして下さい。
(大阪大学・浅利 誠志)

[戻る]