02/08/26
■ 3%小川培地に発育した抗酸菌の同定方法
【質問】
 ○×医師会検査センターで細菌検査を担当しています。抗酸菌について質問します。
 現在, 抗酸菌の培養は, 3%小川培地にて実施しております。3%小川培地に発育した抗酸菌を, 早く確実に同定する方法は何でしょうか??? また, 結核菌PCR法, DDH法, キャピリアTBの検査法の長所と短所を教えて下さい。

【回答】
 小川培地に発育した菌コロニーの同定検査には, “DDHマイコバクテリア法”が最適の方法であると思います。DDH法の特徴は;
 (1) 1回の検査で18菌種の同定ができる。
 (2) 培養菌1コロニーでも同定可能である。
 (3) 1検体ごとの試薬キットなので, 試薬の浪費が遺伝子検査の中では一番少ない
 (4) 保険請求の査定減がまずない。

 しかし欠点としては, 
 (1) 核酸の抽出がうまく行かないと, 同定できない。
 (2) 洗浄操作において, 洗浄液をきれいに取らないと, すべての反応ウェルが青色に発色して同定できない。
 以上の2点に注意すれば, 最良の同定方法です。

 また強いて問題点をあげるとすれば, 
 (1) 液体培地および検体から直接同定が出来ない。
 (2) 用手法である。機器装置にのせるのであれば, 協和メディックスのプレート専用機があります。

 “キャピリアTB法”については, 検出率, 感度ともに良好な試薬です。液体培地用に開発された試薬で, 小川培地に発育した菌コロニーでの同定精度がどの程度なのか検討していませんのでわかりません。結核菌の変異株では同定できないことがあります。

 “結核菌PCR法”については, 塗抹陽性検体, 微量排菌検体, 臨床上結核の疑いが強いものは, PCR法で検査する意味合いは大きいのですが, 培養された菌コロニーについて同定検査をするのは如何なものでしょうか??? また欠点としては, 保険点数表に収載されたが, 今後は培養株でPCR法を行う施設が増加すると思われます。確実に保険請求の査定減があります。

 どうしても培養菌コロニーから結核菌の遺伝子検査で同定されるのであれば, アキュプローブ法をお勧めいたします。検査時間は短く, 同定感度, 正確性も保証され, 特に問題ない方法だと思います。ただ専用機器を必要とします。

(国立都城病院・斎藤 宏)

[戻る]