■ 結核菌PCR陽性, 検鏡陰性患者の取り扱い 
【質問】院内感染としての結核が大きく報道されています。PCR陽性で, 検鏡陰性, 現在培養中の患者をどのように取り扱ったらよいですか??? 患者は一般病棟に入院しています。
 

【回答】PCR陽性結果の解釈として, 真の陽性か偽陽性かであります。それぞれについて考えてみます。
1)真の陽性の場合
 従来の塗抹陰性結核患者として扱えばよいと思います。法律的には入所命令の対象ではありませんが, 抗結核薬による治療をできれば結核療養施設で行ってください。患者の都合で無理であれば, 外来治療でも構いません。

2)偽陽性の場合
 塗抹・培養検査を再検しながら様子を見ればよいと思います。さらにもう一度PCR検査を行ってください。
真の陽性か偽陽性かの鑑別については, 臨床像や他の検査所見(レントゲンや血液検査)を参考にします。これらが結核症に矛盾しないのであれば, PCR陽性を真の陽性と考えてよいと思います。一方, 症状や所見が結核症に当てはまらないのであれば, 偽陽性を疑って経過をフォローしてください。参考までに, 未治療結核患者, 肺炎患者などから得られた喀痰について, PCR検査の感度と特異度を調べたわれわれの成績(Microbiol Immunol 42, 281-287, 1998)では, PCR検査の臨床診断に対する偽陽性は認められませんでした。

(京都大学・一山 智)

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