■ 結核菌のRFLP 分析
【質問】結核菌のRFLPを検査してからのクラスタ−解析法について御教授下さい。当院で, 過去10年間保存していたM. tuberculosisをRFLP法にて疫学的な調査と言うことで検討しています。この時にクラスタ−解析と言う文面がありますが, どのように解析できるのかわかりません。宜しくお願い致します。
 

【回答】結核菌の菌株を識別するために遺伝子解析を行う際, 一般的によく行われる方法はRFLP(restriction flagment length polymorphism)という方法です。染色体DNAを制限酵素(PvuII)で切断し, アガロースゲルに流します。それをナイロンメンブレンにサザンブロットし, プローブに挿入配列(IS-6100)を用いハイブリダイゼーションを行います。IS-6100は結核菌の染色体上に複数存在するので, ハイブリダイゼーションしたIS-6100のバンドの位置によって菌株が識別されます。

次にクラスターですが, これは房という意味で, お互いに近縁関係の強い菌株同士の集まりを指します。RFLPで得られたそれぞれの菌株を, お互いにハイブリダイゼーションしたIS-6100のバンドの位置を比べ, お互いの菌株で何%一致しているかを比較するわけです。たとえば100株でこの解析をする場合, お互いに比べ合うわけですから, 100のうちから2個選ぶ組み合わせの数だけ解析しなければなりません。実際は解析ソフト (米国ゾルテック社など) を用いて行います。お互いに何%一致しているかを図 (系統樹) に表わすと, ちょうど一致率が高い株すなわち近縁関係にある株同士が房 (クラスター) を作るわけです。実際の系統樹については, 結核研究所の阿部先生か高橋先生がこの方面の権威ですので, お訪ねになるとよいと思います。

(京都大学・一山 智)

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