04/02/18
■ロタウイルスの院内感染対策
【質問】
 ロタウイルスは手やベッド柵など, ノンクリティカルな器具にどのくらいの時間生き残るのでしょうか。環境 (ベッド柵やドアノブなど) の消毒はどのようにしたらよいのでしょうか。また感染予防の期間はいつまで必要なのでしょうか。

 以前, 内科患者にも感染し, また小児科の子どもにも感染したこともあり, 感染対策として接触感染対策を実施していますが, 感染者が続出している状態です。よろしくお願いします。

【回答】
 ロタウイルスは, 体外の環境下でも比較的安定で, 加熱や酸ではなかなか死滅しないウイルスです。感染力も強く, 主として経口感染で, 患者の便中のロタウイルスが手などを介して周囲に感染していきます。気道分泌物や他の体液にも少量ながらウイルスが排泄されることも報告されています。ウイルスの排泄は下痢症状が出る前から下痢症状が終わって2_3日後まで続きます。したがってなかなか感染予防が難しいのが実状です。

 感染対策としては, 標準予防策に加え, 接触予防策に従って行います。具体的にはまず用便後やおむつ交換後, あるいはおむつ処理時, 調理, 配膳, 食事前には手洗いを励行することを徹底します。また手洗い後に, 同じタオルを用いることでの交差感染を防ぐため, ペーパータオルを使用します。汚染された下着は0.01%以上の次亜塩素酸ナトリウムに60分間以上浸漬後に洗濯し, おむつの処理などは小ビニールに入れ, 汚物処理室に出します。以上のような患者に接する場合や処置時には“ディスポーザブル手袋”を着用し, 終了後は必ず手洗いをします。また病室へ入室時にはガウンを着用し, 部屋を離れるときには脱ぎます。汚物などの処理時など, 口への飛散が想定される場合にはマスクを使用します。他への感染拡大を防ぐためにも, 患者の外出禁止や制限, および見舞い,付添い人の制限をおこないます。場合によっては患者を隔離するなど対処します。

 ロタウイルス感染症は, A群ロタウイルスによる冬季の乳幼児下痢症がよく知られますが, 近年は, 成人の間でもC群ロタウイルスによる急性胃腸炎の集団発生事例の報告が散見されています。

(研究会名誉会員・中村 良子)


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