03/04/09
03/04/08
■ 密封されたアンプルを開封しないで中の細菌を殺菌する方法
【質問】
 以下の病原菌保存株の殺菌方法につき, ご質問致しますので宜しくご教示下さい。

1. 病原菌の種類
 Bacillus anthracis, Corynebacterium bovis, C. diphtherae, Salmonella, Shigella, Streptococcus pyogenesなど“P2レベル”で取り扱うべきもの

2. 保存状態
 ガラスアンプル内で真空凍結乾燥状態

〔質問事項〕
1. アンプルを開封しないで殺菌する方法はないでしょうか。放射線などが考えられますが。

2. 殺菌方法としては, P2施設内で, 予備加熱 (100℃, 30分以上), 冷却後, アンプルを開封し, 121℃, 20分間の殺菌処理で完全でしょうか。

3. 病原菌の保管, 廃棄につき, 最新の法的規制, 指針をご教示下さい。

4. 殺菌, 廃棄を受託している業者はないでしょうか。
以上, 宜しくお願い申し上げます。

【回答】
 簡潔にお答えいたします。6菌種についてのご質問ですが, 最初の Bacillus anthracis のみが有芽胞菌です。他の無芽胞菌を含めてすべて121℃ 20分間のオ−トクレ−ブ処理で殺菌 (滅菌) 可能です。アンプルを開封する必要はありません。なお開封しませんので, 加熱過程でアンプルが破損してオ−トクレ−ブ内にアンプル破片が飛散するのを回避するための工夫は必要かもしれません。また, 殺菌・廃棄を受託している業者は恐らくはないと思います。そもそも, 扱った病原微生物の適切な処理 (殺菌・滅菌・破棄) が出来ないようでは, 病原微生物を扱うべきではないと考えます。

 なお「病原菌の保管・廃棄につき, 最新の法的規制・指針」とのことですが, 例えば, 最初の Bacillus anthracis などについては, 学会レベルでバイオハザ−ド対策を含めたマニュアルが示されておりますが, 本件につきましては国立感染症研究所などに直接お問い合わせされるのが良いと考えます。
 また, ご質問の菌種名 C. diphtheraeC. diphtheriae のスペルミスですね。

(信州大学・川上 由行)

【質問者からのお礼】
 丁寧なご回答有り難うございました。以下の様に処理したいと考えております。

 アンプルは真空なので加熱しても破裂することはないと思いますが, 完全に蒸気が内部に入れるためには予備的に加熱殺菌した後, アンプルを開封して再度オートクレーブ致します。また本件は, 過去に抗生物質探索を業務としていた部署があり, その検定に使用していた菌が残存しており, それを処理するということでありますので, 不完全な設備で病原菌を扱っているということではございません。長らく微生物部門で病原菌の扱っておりませんでしたので処理方法を確認させていただいた次第です。弊社のバイオハザード対策規定により適切な設備で処理致します。ご教示有り難うございました。


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