03/08/08
■ 生菌数測定の方法について
【質問】
 化粧品を携わる業務の品質管理課に所属しております。

 一般生菌数測定を行っているのですが, 試料液 (10倍) と試料液の10倍 (100倍), 試料液の100倍 (1,000倍) の溶液を寒天培地で一般生菌数測定をしております。結果で10倍の寒天培地から24個の集落が検出されたら, 菌は24×10^2 (2乗) ということなりますか??? 微生物検査など今までにしたことがなく, 本や資料を読んでやっております。結果の出し方としてあっているのでしょうか???

 また, 10倍, 100倍の試料溶液でやって, 10倍のほうには菌が検出されないのに, 100倍のほうに菌がでてくるのはなぜですか??? 失敗なんですか??? 

 また, シャーレの外側にのみ菌が検出されるのは, 周りから汚染されていることなのでしょうか???

基本的なことで申し訳ございませんが, ご回答のほど宜しくお願い申し上げます。

【回答】
 まず最初に, 生菌数測定の“単位”はなんなのか, よく考えてください。通常, colony forming unit (CFU)/ml という単位が使われます。1 mlの試料に何個のコロニーを作る細胞が含まれているかを示す単位です。従って, 生菌数測定とは生菌数の“濃度”を定量しているのです。質問には100倍希釈された試料をいくら (ml) 寒天培地に接種したのか書かれていませんが, 仮に0.1 ml接種したとしますと・・・試料 (100倍希釈されたもの) には24個/0.1 ml, さらに試料は予め100倍希釈されている訳ですから, もともとの試料 (×1) には24×100/0.1 ml = 2.4×10^4 CFU/mlの生菌数濃度となります。“希釈率と接種した試料量から, もともとの試料 (×1) に含まれる生菌数濃度を計算する”というのが原則です。

 10倍で菌が“一見”, 検出されず, 100倍で菌がでてくる場合, まず10倍希釈の寒天をよく観察します。菌濃度が非常に高い場合には, 個々のコロニーが非常に小さくなって観察し難くなったり, コロニー全体が重なり合って培地表面全体に薄く発育しているような場合があります。10倍希釈の寒天にまったく菌の発育が観察されない場合には, 希釈操作のミスが最も考えられます。

 “シャーレの外側にのみ菌が検出される”という表現を正確に理解できませんが, “寒天培地の外縁部に菌がたくさん観察される”ことはしばしば経験します。寒天培地を準備する際, シャーレに流し込んだ液状の寒天はその表面張力で, 真ん中部分が厚く, 外縁部が薄くなる傾向があります。このような寒天培地に液状の試料を流すと, 外縁部にたくさん試料が集まります。液状の試料を接種した後, 寒天培地の全面に均一に試料を塗り広げる操作 (コンラージ棒などを用いて) が必要です。

(琉球大学・山根 誠久)

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