03/11/26
03/12/01
■ セパシアは膣炎の原因となりえますか???
【質問】
 はじめまして。先生方に質問があります。

 膣分泌物由来の検体から“バルクホルデリア・セパシア”が分離されたのですが, 膣炎の原因菌となることはあるのでしょうか??? 日和見感染の代表的な菌ですので, 病原性はそれほど強くはないと思うのですが・・・

どうかご教授の方を宜しくお願いします。

【回答】
 膣からセパシアが分離されたとのことですが, ご存知のように本菌はブドウ糖非発酵性のグラム陰性桿菌であり, 本来は自然環境内で生息し, タマネギに感染し, 腐らすことが知られています。

 性成熟期の女性においては, 膣にはデーデル桿菌 (乳酸桿菌) が中心となり, 自浄作用があり, 他の細菌の侵入を抑える作用がありますので, 弱毒菌であるセパシアが起炎菌となることはまず考えられません。しかし, 加齢と共に卵巣機能が低下する年齢に達すると膣の自浄作用は低下し, 膣のフローラにも変化が生じて来ます。そのため, 何らかの原因でフローラが乱れると, 場合によってはセパシアが入り込むこともあるでしょう。しかしながら, 分離されても原因菌とすることは通常の状態では無理であり, むしろ、コンタミネーションとした方がよろしいでしょう。必要なことは, 患者さんの年齢, 基礎疾患 (子宮頚癌, 免疫不全状態) や異物の挿入などをチェックする必要があります。日和見感染状態があり, 局所にセパシアの定着や感染を助長するような条件が揃えば感染も皆無とは云えません。分離菌数は少数か, 多数か。複数回にわたり分離されたか。セパシア以外に分離された菌種はといった情報などを参考にして下さい。

(近畿大学・古田 格)
【質問者からのお礼】
 大変勉強になりました。その後いろいろと患者さんの状態や採取状況を調査したところ, 先生のおっしゃるとおり, コンタミネーションの可能性が高いようです。どうもありがとうございました。

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