03/06/04
■ プラスチック製シャーレの滅菌廃棄の方法
【質問】
 初めまして。私は水処理会社で分析をしている者です。使用済み滅菌シャーレの処理方法について質問させていただきたく, メールいたしました。

我が社の分析室では, ディスポーザブルのプラスチック滅菌シャーレを使用しています。現在私は, 使用済みの培地, シャーレ共に, 121℃, 20分間オートクレーブにかけて滅菌し, 熱で液体となった培地はそのまま水道水で薄めて流し, 熱で溶けて固まったプラスチック・シャーレは冷えたらそのまま燃えないゴミとして捨てています。しかし, この方法で処理していたところ, 同僚に「プラスチックは熱すると環境ホルモンのような有毒ガスが出るのではないか」との指摘を受けました。この同僚は, 積み重ねた使用済みシャーレに紫外線を当てて滅菌して処理しているようですが, 私はこれでは滅菌できていないと思うのです。他には, 次亜塩素酸ソーダに漬けたりもしているようです。使用済みプラスチック・シャーレの一番望ましい処理方法を教えてください。よろしくお願いいたします。

【回答】
 使用済みシャーレの廃棄方法についての御質問ですが, 使用済みシャーレの処理としてはオートクレーブ滅菌後, 廃棄するのが一般的と考えております。ちなみに, 当社のシャーレはポリスチレン製であります。ポリスチレンに含まれるスチレン2量体 (ダイマー), 3量体 (トリマー) は環境庁から出された内分泌攪乱作用を有すると疑われる物質のリスト (Speed 98) に98年当初は含まれておりましたが, その後見直しされ, 2000年改訂版のSpeed 98では除外されております。よって当社のポリスチレン製のシャーレからは現時点で環境庁より出されている内分泌攪乱作用を有すると疑われる65物質の漏洩はないと考えております。しかしこれらは, 人体や環境への影響を否定できるものではありません。参考として当社での廃棄方法はシャーレと培地ともども滅菌袋に入れ, 121 ℃ 30分間のオートクレーブ滅菌をし, 産業廃棄物として袋ごとの焼却処分をしております。

(極東製薬工業・内堀  勝典)

追記: 注意してください。使用済みシャーレに紫外線を当てる, 次亜塩素酸ソーダに漬けるという処理は“消毒”であって, 質問者の指摘されるように“滅菌ではありません”ので, 廃棄の方法としては不適切です。

(琉球大学・山根 誠久)

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