04/04/16
■ 真菌培養の結果報告について
【質問】
 はじめまして。一般病院の細菌室に勤務している検査技師です。

 呼吸器科の先生が今年着任されてから, 喀痰培養の際に, 必ず一般細菌・抗酸菌・真菌培養をセットでオーダーされます。当院では真菌培養にはクロモアガー培地を用いて1週間培養を続けています。1週間も経つと, 1〜2コロニーは発育しますが, これも真菌発育(+)となるのでしょうか??? 私は白血病の患者様の監視培養でもない限り(−)でよいと思いますが, 同僚の1人は「発育しているのだから, 少数という表現で報告すべき。現にまったく発育(−)のものもあるのだから」との意見です。御教授よろしくお願いいたします。

【回答】
 難しい問題です。検査結果を報告する検査室 (臨床検査技師) と結果を判読する臨床現場 (医師) とが, 同じ認識と理解を共有していれば問題はないでしようが・・・

 私なら, まず着任された医師の知識と判断能力を評価します。そのためには, 1〜2コロニーでも, 正確に報告します。次にしばらくの期間, のような結果報告に関して, その医師がどのように判断, 行動したかを追跡します。その医師がオーバー・リアクション(過剰反応)していたら, 次からは1〜2コロニーは無視して, 敢て陰性 (_)と報告します。またオーバー・リアクションしていなければ, 得られた結果を正確に報告するようにします。最終的には, 患者に不必要な抗真菌剤の投与がなければよい訳ですから。・・・でも, このような“医師のプライド”への配慮をしなければならない医療現場は辛いですね・・・

(琉球大学・山根 誠久)


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