04/02/12
■ 食品の細菌検査について
【質問】
 (1) 食肉製品の検査ですが, 食品衛生法の規格基準により黄色ブドウ球菌は1000/g以下と決められています。検査では食肉サンプル25 gをペプトン加生理食塩水225 mlでストマックし, この0.1 mlを2枚の卵黄加マンニット食塩培地に接種した後, コンラージ棒で塗抹します。孵卵器で培養後, 発育した定型集落をカウントし, 菌数を求めることとなっています。質問はこの菌数の求め方なのですが, 卵黄加マンニット食塩培地上に何もコロニーが発育しなかった場合, 結果の出し方は何が最も妥当なのでしょうか(0個/g, <100個/gなど)。

(2) 冷凍食品の検査では試料の調製の際, 細切できるように解凍しなくてはいけません。このときの解凍温度, 解凍時間はどのくらい菌に対して影響を及ぼすのでしょうか。文献などございましたら教えてください。

【回答】
(1) 培地になにも発育しなかった場合の表示方法ですが, その方法での検出限界を正しく理解できるような表記をすべきだと考えます。培地にひとつだけ菌集落が認められた場合を想定して, その値 (濃度) 未満であると表記すればよいでしょう。質問されている方法ですと, “100 colony forming units/gram 未満”と表示するのが丁寧だと考えます。

(2) 冷凍状態にある試料から正確な定量性 (菌濃度) を保って細菌を回収する際, 大きく影響する因子としては温度と時間が考えられます。温度は高過ぎると細菌を死滅させ, 逆に適度の温度は細菌を増やします。時間も同じで, 高い温度で長い時間作用させると細菌はより多く死滅し, 適度の温度で長い時間おくとより増殖します。通常, 我々が用いる温度 (30〜60℃) では, 細菌の死滅より, 増殖することが問題であり, できるだけ速やかに解凍する注意を払います。

 文献については, 特に見つけることができませんでした。御了解ください。

(琉球大学・山根 誠久)


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