04/07/27
■ 食品製造工場の拭取り検査
【質問】
 私は食品製造工場で微生物検査を行っております。HACCPシステム導入に向けて, 工場内の衛生管理の強化を行いたいと考えております。そこでまず, 機械や器具の拭取り検査を行いたいと思うのですが, 拭取り検査で大腸菌群を検査するのに最も適した培地は何になるのでしょうか???

 私は現在, デソキシコレート寒天培地と液体のLB培地を用いています。同検体をこれらの2種類の培地で行うと, LB培地ではガスが発生するが, デソキシコレート培地ではコロニーが確認されないということが何度かありました。実際, LB培地は定性試験で, デソキシコーレイト培地は定量試験的な感じだとは思うのですが, とりあえず私共の工場では大腸菌群がいないことが前提ですので大腸菌群の数を調べるというより, 大腸菌群の存在の有無の方が重要視されます。この場合はやはりLB培地を用いる方がより一般的なのでしょうか??? 私の一般的な印象としましては, いくつかの文献などを拝見して, 拭取り検査の大腸菌群の試験はデソキシコーレイト培地で行う印象が強いので, 果たしてLB培地を使っていいものかと思い, 質問させて頂きました。宜しくお願い致します。

【回答】
 手間がかかりますが, LB培地を使っても大丈夫です。LB培地は非選択培地なので, 乳糖を分解してガス産生を認めても, 必ずしも大腸菌群が存在するとは限りません。そこで, 通常はガス産生試験管から大腸菌群用選択鑑別培地へ1白金耳を塗抹し, 分離培養し, 典型的な集落をグラム染色してグラム陰性桿菌であれば, 大腸菌群が存在していたということになります。これに対して, デソキシコーレイト培地を使用すれば, 混釈培養後, 典型的な集落 (赤濁集落) を肉眼で確認でき, そのコロニ_をグラム染色すれば, 大腸菌群 (グラム陰性桿菌)の有無を推察できます。

(日水製薬・小高 秀正)


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