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【質問】
食品検査で“一般生菌数”を測定した場合, 稀に標準寒天培地上からカビが発生することがあります。これは一般生菌数として数えてもよろしいのでしょうか???
食品衛生法における一般生菌数の定義には酵母及びカビは含まれると解釈してよろしいのでしょうか???
よろしくお願いします。
【回答】
食品衛生法に基づく成分規格は「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」および「食品、添加物等の規格基準」として食品別に定められ,
それぞれに菌数 (生菌総数, 大腸菌群, 大腸菌, 乳酸菌, 芽胞菌, 腸球菌, 緑膿菌,
食中毒菌など) の限度が決められています。また成分規格以外の製造基準, 調理基準,
保存基準, 加工基準などにも同様に微生物の規格が定められています。さて, ここで表現している生菌総数は一般生菌数とも呼ばれ,
標準寒天を用い30℃, 48〜72時間, 有酸素環境 (好気性) にて培養して得られる微生物の総集落数を把握することとして国際的に広く支持されています。このような条件ですから,
嫌気性菌など特殊培養条件を必要とする微生物は検出できないし, 発育菌の種名も決定できません。要するに一般生菌数とは単純に発育した集落数を計測するだけとなります。ゆえに見た目で真菌を疑ってもそれを除外せず,
すべてを計測することになります。これは真菌の種類によっては細菌集落と鑑別つかないものも含まれますし,
カビを推定してもBacillus属となる場合もあるからです。ですから, 一般生菌数とは別に大腸菌,
ブドウ球菌, サルモネラ菌, カビ, 酵母などを目的とした検査法も紹介され, 食品種類別に併用するよう指示されています。
詳細な検査法は食品微生物検査マニュアル (森地敏樹・監修: 栄研器材株式会社)
を参照し, 法的規則などについては社団法人・日本食品衛生協会にお尋ねください。
(大手前病院・山中喜代治)
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