■ 真菌におけるMICの意味 | |||||||||||||||||||||
【質問】白血病患者よりAureobasidiumを血液培養・IVHより検出したのですけど,
感受性を千葉大学真菌医学研究センターの西村先生に調べて頂いたのですけど,
主治医に上手く説明出来ません。Candidaの感受性を含めMICをどう考えたらよいのか教えて下さい。
【回答】現在, 日本で深在性真菌症に使用可能な抗真菌剤は, アンホテリシンB(AMPH-B), フルシトシン(5−FC), フルコナゾール(FLCZ), イトラコナゾール(ITCZ), ミコナゾール(MCZ)の5剤があります。しかしながら, これらについて国内では感受性試験の判定値が設定されていないため, NCCLSのガイドラインの判定値(表)を使用しています。このNCCLSのガイドラインは, 多くの臨床データと, 臨床分離株による感受性測定, 薬剤の血中濃度などを考慮し作られていますが, このガイドラインも完全でなく対象菌種はCandida属, 薬剤はFCZ, ITCZ, 5-FCの3剤に限られています。AMPH-Bに関してNCCLSは, Candida属の94%の臨床分離株のMIC値が1μg/ml以下, 6%が2μg/ml以上であったことや, AMPH-Bのhigh dosesで血清中の濃度が1.0μg/mlに達することにより, >2μg/mlを臨床的ブレークポイントに勧めても良いのではと言っています。MCZに関しては, 海外での発売がないためガイドラインには示されていませんが, 血清中の薬剤濃度を考えた場合, 0.5〜1.0μg/mlを越えるMICの場合は「耐性」と判定します。注意事項としては, 抗真菌剤の感受性は測定した培地や条件によってMIC値が大きく左右されるため, 測定時の条件によって判定値を変更する必要があります。したがって, NCCLSのガイドラインにしたがって測定していなければ, 下記の判定値は使えません。 Interpretive guidelines for in vitro susceptibility testing of Candida spp.
(大阪大学・浅利 誠志)
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