03/10/23
■ 新生児には, 清拭か, 沐浴か???
【質問】
 現在, 正常細菌叢の早期獲得という目的で, 入院中の新生児には“沐浴”を行っていません。しかし, 周囲のスタッフの反対意見も多く, また“沐浴を毎日する”ことになりそうです。新生児の臍を沐浴によって濡らすことで, 臍炎のリスクも高まると聞いたことがあります。出生後1週間程度の新生児にとって, 本当は“清拭か, 沐浴か, どちらが感染のリスクが低い”のでしょうか???

【回答】
 琉球大学医学部附属病院産婦人科病棟では, 出生直後の沐浴は, 原則として行っていません (理由: 低体温によるアシドーシスなど, 児の全身状態への弊害の予防)。ただし, 血液を介する感染 (HIV, HB) が母体にある場合は例外として短時間の沐浴を行います。出生24時間以降, 児の体温が安定していると判断した場合は沐浴を退院時まで毎日, 午前中に実施しています (2,500 gram以下の未熟児の場合は, 沐浴による低体温が予測される場合, 担当医師へ指示を確認した後, 清拭または部分沐浴を行います)。

 沐浴による臍感染を懸念されているようですが, 一患者一沐浴槽での実施, 毎回消毒液 (弱酸性水) による沐浴槽の消毒, 沐浴後の臍消毒 (ポピヨード), 尿などで汚染された場合は, 随時, ポピヨードとアルコールによる消毒を行い, 臍感染の防止を図るためのガーゼなどは使用していません。

 早期の新生児期に沐浴を毎日実施していますが, 臍帯の処置, 観察を行うことで臍炎は十分に予防できています。また, 沐浴を入院期間中に実施するメリットは両親への沐浴指導 (実施を含めて) を行っていますので, 退院後の臍処置の方法, 観察方法の指導まで含めて行うことができます。感染の予防はもちろん, 退院後の異常を早期に発見する指導も大切ではないでしょうか。

(琉球大学・上間千代美)

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