02/07/26
■ 耐熱性の“かび”について教えてください
【質問】
 お世話になっております。
 Byssochlamys属など, 耐熱性のあるかびが食品業界でも問題になってきています。現在の試験方法は, 80℃ 5分間のヒート・ショックの後で, PDA培地で30℃, 5日間の培養で検査しています。そこで, 以下のことにつきましてうかがいたいのですが:
 (1) Byssochlamys属以外の耐熱性のあるかびの種類と性質。
 (2) 耐熱性の度合い。(栄養細胞および胞子)。
 (3) 培養条件, 試験方法はこれでいいですか??? 栄養要求性など, 他に何か選択培地はありませんか???
 (4) 外観および顕微鏡観察での見分け方。(特徴)。
以上よろしくお願いします。

【回答】
 (1) Byssochlamys属以外の耐熱性のあるかびの種類と性質
 耐熱性真菌としてはAspergillus fumigatus の有性世代の Neosartoryaがあります。Byssochlamys同様に耐熱性, 耐乾燥性, 耐酸素性 (嫌気状態でも生残する) です。そのため食品でも密封してあります食品での事故が多く, 缶詰や果実製品で事故を起こします。

 (2) 耐熱性の度合い。 (栄養細胞および胞子)
 湿熱の70〜80℃で15〜30分くらいで死滅します。通常の真菌は55℃あたりで数分から15分位で死滅しますので, それに比べると死滅しにくいといえます。

 (3) 培養条件, 試験方法はこれでいいですか??? 栄養要求性など, 他に何か選択培地はありませんか???
 試験の内容はよくわかりませんが, ヒート・ショック80℃, 5分では中途半端のようでしょう。培地はこれでかまいません。

 (4) 外観および顕微鏡観察での見分け方。(特徴)。
培養した場合, 1〜2週間必要です。集落だけではわかりにくいです。また形態ではPaecilomyces世代を見つけることです。よく間違えるのは, 先ほどのNeosartoryです。集落, 形態ともよく似ていますので。

(国立医薬品食品衛生研究所・高鳥 浩介)

[戻る]