■“炭酸もの”で死滅しない菌について | |
【質問】
清涼飲料水の工場に勤めています。 ある“炭酸もの”で90℃以上の密封前の殺菌を行い, 後に65℃, 10分程度の殺菌は行っているのですが, 35℃培養で一般生菌が見られ, 芽胞菌ではと言う話もあったので, ためしに“フラットサワー用の培地”で培養したところ, 黄色のコロニーが見られました。仮に, Bacillus coagulans なら, 通常の環境では繁殖するとは考えにくいですが, 他の菌が死滅すれば“商業的無菌”と考えてもよいのでしょうか??? また, このような殺菌条件で問題にはされていないが, 増えてしまうような菌や問題となりうる菌がありますでしょうか??? 厚生労働省の基準なら, pH 4.0以下の清涼飲料なら65℃, 10分, Z値5℃, 炭酸飲料は無殺菌でもよいとなっているのですが, “果汁もの”では耐熱性好酸性菌が問題とされていますが, “炭酸もの”では問題とされる菌はないのでしょうか??? 【回答】
(2) また, このような殺菌条件で問題にはされていないが, 増えてしまうような菌や問題となりうる菌がありますでしょうか??? 回答: 耐熱性カビであるByssochlamysや耐熱性酵母のSaccharomyces sp. がソフトドリンクから分離されたという報告があります。特に, 酵母が生残し, 増殖すれば, ガス分圧が変化し, ボトルが膨張する危険性があります。 (3) 厚生労働省の基準なら, pH 4.0以下の清涼飲料なら65℃, 10分, Z値5℃, 炭酸飲料は無殺菌でもよいとなっているのですが,“果汁もの”では耐熱性好酸性菌が問題とされていますが, “炭酸もの”では問題とされる菌はないのでしょうか??? 回答: Zygosaccharomyces bailiiという酵母が問題になる可能性があると思います。この酵母は炭酸ガスにも耐性であることが紹介されています (Pitt, J.I.: Resistance of some food spoilage yeasts to preservatives. Food Technol. Australia 26; 238, 1974.) (日水製薬・小高 秀正) 【回答】
「商業的無菌」とは, 清涼飲料水というより缶詰協会の容器詰食品の加熱殺菌という本に載っていた内容です。「非冷蔵の, 通常の貯蔵・流通条件下において, 食品中で発育する微生物が存在しない状態」と言う定義であるようです。完全殺菌とは区別し, 容器詰食品の加熱殺菌の目的はこの「商業的無菌」を確保することにあると言う解説がされています。毒素などが科学的に出されないとされているpH域であれば, 増殖性がないことが確認されれば, 数が少なければ一般にOKと見ているのですかと言う趣旨で質問しました。 「≪おいしい食品作り≫に努力を傾けている」がその回答と私は感じました。 ありがとうございました。ただ, 問題になりそうな菌が繁殖しないよう最新の技術を調べて制御していきたいと思います。
|