03/08/18
■ 定性試験と定量試験について
【質問】
 私は現在, 食品衛生検査に携わっているものですが, 食品衛生検査指針などに書かれている検査法として, 「定性試験」と「定量試験」があります。定性試験は目的とする菌が“陰性か陽性か”ということで理解できるのですが, 定量試験を行った場合, 菌量の計測だけでなく, 「定性も兼ねている」ことになるのでしょうか??? 例えば, 腸炎ビブリオやサルモネラ属菌の定量試験 (MPN法)を実施すれば, 定性も行ったことになるのでしょうか??? あいまいな質問ですが, ご回答よろしくお願いします。

【回答】
 定量試験は定性試験も兼ねているかという質問ですが, “陽性と陰性を区分する値 (=ブレイク・ポイント) が予め設定されている”という条件があれば, 定量試験は定性試験を兼ねることがでます。例えば, 陽性と陰性を区分する細菌の濃度が100個/mlと予め設定されているとしますと, 定性試験では10 mlの液体培地に試験する溶液を0.1 ml接種して培養し, 培地が濁ったら“陽性”, 濁らなかったら“陰性”に判定します。一方, 定量試験では, 試験する溶液に含まれる細菌の実数を実際に計測して, 得られた値が100個/ml未満なら“陰性”, 100個/ml以上であれば“陽性”と定性判定できます。

 定性試験は一般に簡単で, 安価ですが, 臨床検査の分野ではより正確さを求める目的から定性試験から定量試験に移って行く傾向にあります。

(琉球大学・山根 誠久)

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