03/09/09
■ 無菌試験にチオグリコレート培地を使用したい
【質問】
 チオグリコレート (TGC) 培地を使用して無菌試験を考えているのですが, 検査結果が陽性となる場合, 試験管内でどのような菌の発育があるのですか??? 例えば, 培地が濁るとか, モワモワしたものが浮いてくるなど。宜しくお願いします。

【回答】
 チオグリコレート培地には数多くの種類の培地があります。無菌試験には最初に記載した培地 (1) を用いると良いと思います。培養結果は写真を添付しましたので参考にして下さい。

写真左: 好気性菌で培養24時間。培地の上の部分が濁ります。

写真中央: 通性嫌気性菌で非運動性の菌種。培養24時間。接種した部分に沿ってのみ濁ります。接種した部分以外は透明のままです。

写真右: 通性嫌気性菌で運動性のある菌種。培養24時間。培地全体が濁ります。

 写真にはしていませんが, 偏性嫌気性菌は空気に触れる培地の上部表面部分には発育せず, 培地中央から底の部分にかけて濁ります。

(1) チオグリコレート培地

 米国NIH (National Institute of Health) が無菌試験用として採用し,わが国では第十一改正日本薬局方および日本抗生物質医薬品基準に無菌試験用チオグリコール酸培地Iとして, 生物学的製剤基準および第十二改正日本薬局方第二追補には液状グリコール酸培地Iとして記載されています。また食品衛生指針には容器包装詰加圧加熱殺菌商品(レトルト食品)の細菌試験用として記載されています。

(2) ブリューワー変法チオグリコレート培地

 偏性嫌気性菌, 微好気性菌および栄養要求性の厳しい細菌の培養に用いられます。

(3) K1, Hチオグリコレート培地

 臨床材料および臨床材料以外の各種材料から好気性菌および嫌気性菌を含めて栄養要求の厳しい菌種の培養に用いられます。

(4) ブドウ糖Ehインジケーター無添加チオグリコレート培地

 嫌気性菌の糖発酵試験に用いられます。

(5) ブドウ糖無添加チオグリコレート培地

 嫌気性菌の糖発酵試験基礎培地および芽胞形成促進培地として用いられます。

(6) 臨床用チオグリコレート培地

 臨床検体およびその他の検体からの広範囲の細菌, 特に偏性嫌気性菌分離のための高栄養一般培地です。

(琉球大学・仲宗根 勇)

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