02/09/05
■ 水に溶け難い薬剤の抗菌活性の測定
【質問】
 金属のカップを用いた抗菌力測定について質問させていただきます。有機溶媒は菌の増殖に影響することが多いため,できるだけ薬剤溶液は水で調製するのが良いのですが,薬剤が水に溶けない場合は,エタノールのみにて薬剤溶液を調製しても構わないでしょうか。また,それ以外によい方法はありますでしょうか。

 もう一つ質問ですが,金属カップをメーカーから購入しようとしましたが,弊社にある器具カタログには載っていませんでした。差し支えないようでしたら,どういったメーカーから金属カップを購入すればよいか,教えていただけないでしょうか。よろしくお願い致します。

【回答】
 まず最初の質問ですが, 現在臨床検査で使用されています抗菌剤のなかにも水に溶け難い物質は数多くあります。これらの薬剤を水に溶かして試験する時には, dimethyl sulfoxide (DMSO), ethyl alcohol, polyethylene glycol, carboxy methyl celluloseといった溶媒にまず溶解します。この時注意する点は, 最初に調製する溶液 (stock solution) の薬剤濃度を, 実際に使用する濃度よりも“少なくとも100倍は高い濃度”に調製することです。薬剤の希釈系列を作成する場合も, 同じく100倍以上高い濃度で, “溶媒”を用いて希釈していきます。実際に試験する際に, 100倍以上の希釈率で水で希釈して用います(溶媒の最終濃度を1%未満にする)。もちろん, 薬剤を含まない溶媒を, 100倍以上の水で希釈した溶液を対照 (control) として同時に試験します。このように水に溶け難い薬剤は, カップによる拡散試験法よりも, 試験管培養での希釈法が試験し易いと思います (用いる液体培地と接種する菌液で溶媒が希釈されるから)。

 カップ法で用いる金属製カップ (プラスチック製でもよい) ですが, 私のところでも現在はほとんど使用していないため, 新規にメーカーより購入することがありません。自家製として, オーダー・メイドしてもそんなに高価とは思いませんが。

(琉球大学・山根 誠久)

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