04/07/29
■ トリプトソイでの液体培地とは???
【質問】
 はじめまして。私は害虫駆除の零細企業に勤務する者です。若干の研修の後に検査関連の現場窓口を行なっている素人です。

 害虫駆除の薬物を溶解する水 (ACによる滅菌水) の使用期限について, その使用期限の設定の根拠となる確認試験で, トリプトソイ寒天培地で培養しました。結果としては作製後 (保管環境は常温・密封下) 2週間でも細菌は確認されませんでしたが, 得意先から「液体培地を使って再度試験をして欲しい」との要望があり, 先方に聞くこともできず困っております。粉末のトリプトソイから寒天成分をろ過し, 液体とした後培養すればよいのか???と思っているのですが, それでよいのでしょうか??? そのときの濃度, 培養時間, 攪拌の有無, 判定の仕方なども合わせてお願いいたします。超初歩的な質問で恐縮です。

【回答】
 質問の内容が正確に理解できません。“粉末のトリプトソイ寒天培地から, ろ過して寒天成分を取り除く???” 簡単にはできない相談だと思います。

 このように理解してください。まず, すべての培地は当初, 液体培地だと・・・この培地を固形にしたい時に適量の寒天を加えるのだと・・・この逆のことは難しくて, できません。従って, トリプトソイ培地にも液体培地用の粉末があります。市販のトリプトソイ・ブロス (broth) の粉末を購入されることです。試験方法はいろいろ考えられます。2倍濃度のトリプトソイ・ブロス (溶解する水を半分にするか, 2倍量の粉末培地を加える) を調製, 滅菌し, これに等量の試験対象とする水を混和して培養するとか・・・液体培地で試験した時の弱点は, その試料に含まれていた細菌の濃度を定量できないことです。基本的に培養して濁ったか否かで判定する訳ですから, 試験した試料のなかに細菌がいたのか, いなかったのかが判定されます。

(琉球大学・山根 誠久)


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