03/09/02
■ ベロ毒素“非生産菌”について
【質問】
 はじめまして。私は食品製造会社で衛生検査の仕事に携わっているものです。こちらのホームページではいくつも勉強させていただいており, 感謝しております。現在, 当社ではベロ毒素生産菌について検査を進めるべく調査しておりますが, 基本的なところで詰ってしまい質問させていただくことにしました。はじめての質問ですがよろしくお願いします。

(1) ブレインハートフュージョン培地やmEC培地で培養した大腸菌についてELISA法などで“ベロ毒素非生産性”と判断されたサンプルはベロ毒素に関する限り安全といってもよいのでしょうか。例えば, 培地で増菌中は毒素は生産されなかったが, 人体内で生産されるということはないのでしょうか。これに関する論文や報告など, ご存知でしたら教えてください。また, もし毒素が生産されるならば, ELISA法よりもDNAをターゲットにした検査法を検討するべきなのかと考えております。

(2) ベロ毒素に関わる遺伝子はバクテリオファージが大きく関与しているとのことで, このバクテリオファージは“大腸菌のみ”をホストとしているのか。大腸菌以外にも赤痢菌のように, ベロ毒素による食中毒の危険性があるのではないか。

以上, 2点です。方々で論文を探したり, 関係者に尋ねたりしていますが, 答えに行き当たりません。どうぞ, よろしくご指導お願いします。

【回答】
 ベロ毒素産生性は, 培養条件により変化することが知られています。例えば培養温度や時間, 振とう回数などによって産生量に差があります。そのため培養条件を一定にしてベロ毒素をELISA法で検出し, “最終的にはベロ毒素産生遺伝子をPCR法で確認する方法が薦められます”。また, ベロ毒素に関わる遺伝子を持ったバクテリオファージが“大腸菌以外の菌に入れば, 当然毒素産生の可能性はあります”。

(愛媛大学・村瀬 光春)


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