■ Vibrio vulnificusの薬剤感受性検査では食塩を添加する, 添加しない | |
【質問】
広島県の○×病院で検査技師をしております。Vibrio vulnificusの薬剤感受性検査に関しての質問です。 臨床使用されていた抗菌薬で, Vibrio vulnificusのMIC側定に用いるMHブロスにNaClを加えた (0.8%, 1%) 場合と加えない場合では, 加えたほうが, 有意にMIC (臨床使用されていた抗菌薬) が高くなりました。どちらの結果を報告すべきか迷いましたが, 「耐性」の結果を報告書に記入し, 詳細をDrに電話連絡した次第であります。本菌の文献を調べ, 感受性結果を記載してあった施設に電話にてお伺いした所, NaClを入れる施設と入れない施設, 両方ありました。感受性検査試薬を販売する企業に問い合わせたところ, E社は“2%濃度として検査する”ことを勧めましたが, D社はNCCLSにはコレラ菌に関しての記述はあるのですが, 好塩ビブリオの検査法は特別な方法はないので, “入れないで検査する”のが妥当という返答でした。答えのない質問ではあるかもしれませんが, ご意見のほど, 宜しくお願い致します。 また文献上, NaClを入れた場合でも感受性は良いと記されておりました。今回当院にて分離された菌はNaCl添加により4世代セファロスポリンに比較的高いMICを示しました。耐性の現状につきましても合わせてご教授下さいますようお願い致します。 【回答】
V. vulnificusはミュラーヒントン培地に弱く発育し, 食塩を加えた場合は良好な発育を示します。そのため, 希釈法であれ, 拡散法であれ, 見かけ上の成績を得ることは出来ますが, 検査成績は参考値であり, S, I, Rといったカテゴリー判定は出来ません。V. vulnificus感染症では経過が早く, 急速に重篤化する場合があります。いたずらに薬剤感受性検査成績にこだわらず, これまでの臨床成績に基づいた知見を臨床に知らせるのも有益です。ちなみにDOXYあるいはMINOが第一選択剤として有効とされていますが, PAPMなどのカルバペネムも初期投与では有効とされています。 (京都大学・田中美智男)
【質問者からのお礼】
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