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【質問】
いつもご丁寧なご教授ありがとうございます。当院ではコスト削減のために入院患者の薬袋をビニール袋に変更し,
使用後回収, 不特定の患者に再利用する案が浮上しています。薬袋とはいえ, 患者の手指に触れるものであり,
また飛沫物に汚染される可能性もあり, 不特定の患者に対しての再使用については感染伝播のリスクがあると考えますが,
エビデンスとなる報告などがありません。先生のご意見をぜひお聞かせ下されば幸いです。
【回答】
すべての医療行為に, それを支持する“エビデンス”があるでしょうか???
MEDLINEを検索してもご質問の回答は得られないと思います。考えられる一番の方法は,
薬袋を再使用した群とそうでない群とで院内感染のリスクが高くなるか否か, プロスペクティブ
(prospective) 調査を行うことです。それが無理なら, 病棟から返却された薬袋の細菌検査をすることでしょう。その結果をみて,
ビニール薬袋の再使用によるメリット (コスト削減) とデメリット (感染伝播のリスク)
を検討することになるのではないでしょうか。しかし, そのような調査でも得られた成績には限界があり,
一定の方向を指し示すものにはならないと予想します。薬袋の経費は保険請求できないので,
コストを減らしたいという考えはよく理解できますが, もしもの時 (院内感染の発生)
を考えれば, 薬袋の再使用は得策ではないと思います。
(琉球大学・糸嶺 達)
【質問者からのお礼】
ご丁寧なご返事ありがとうござました。院内で再検討することといたします。
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