■ VREの届け出と“通常は無菌的であるべき材料” | |
【質問】
VRE関連について, 一部お教え下さい。VREでVanA, VanBを保有している場合, 「感染新法」においては届出の義務が医療機関にはあると理解しています。VanCに関しては, 血液, 髄液などの, 通常は無菌的であるべき材料より分離された場合は届出の義務が発生します。では, 無菌的材料とはどの程度までを言うのでしょうか??? 以下に示した材料は, 無菌材料として判断できるのでしょうか。ご指導おねがいします。 ・心のう液・胆汁・膵液・腹水・関節液・リンパ節 他に特記すべき材料区分に関する項目があれば, 合わせてご指導願います。 現状の私の判断として, 本来生体として無菌材料としても, 菌の混在が全身疾患に移行する材料の場合, 特に注意が必要であり, 届出対象となるのではないでしょうか??? つまり血液, 髄液や脳間液などで, 例えば腹水は健常者ではその保有量も少なく, 腹水の蓄液は代謝機能不全や腸管よりの噴出や露出により構成され, 場合によって腸内菌叢と同等の分離菌が得られることになります。これらを無菌材料として判断できるのでしょうか。腹腔内は必ずしも閉鎖された環境でしょうか??? ある程度の菌の行き来はあるのではないでしょうか。その為, 血液や髄液と同等の扱いが出きるのでしょうか。合わせてご指導下さい。 以上宜しくお願いします。 【回答】
このように届出基準の中に「血液, 腹水, 胸水, 髄液は, 通常無菌的である」と明記されており, これらの検査材料からVREが検出された場合は, 異論がありましてもそれに従うべきものと考えます。ご質問にある6種の検査材料は, いずれも一般的には無菌的臨床検体と言えますが (胆汁については, 術中胆汁など, 無菌的に採取されたものでなければなりませんが), 法的に定められたものではありません。 細菌検査室の現実的対応として, 感染症起因菌と考え得る腸球菌が検出され, MIC値や遺伝子検査で基準を満たせば, 検査材料の種類にとらわれることなく主治医に報告すべきです。“主治医がVRE感染症と診断すれば”, 保健所に届け出ることになります。van A型とvanB型では無菌材料でなくとも届け出ることがありますので, 医療施設と保健所の間で確認が必要な場合もあるでしょう。 (京都大学・前田 重隆, 田中美智男)
|