05/01/18
05/01/21
■ 安全キャビネットと食中毒菌検査について
【質問】 
 食品製造業における微生物検査を担当しています。いつも活用させていただき, ありがとうございます。今回は, 安全キャビネットと食品における食中毒菌検査に関して質問させていただきます。 

 食品衛生検査指針 (2004) によれば, バイオセーフティレベルが“2”の微生物に関して, エアロゾル発生のおそれのある操作は生物学用安全キャビネットまたは陰圧アイソレーターの中で操作するよう記載があります。レベル2の菌には, サルモネラやリステリアなどの食中毒菌がいくつか含まれています。 

 ここで質問です。食品衛生検査指針にある上記の内容は, 食品製造業者が自主的に行う食中毒菌検査 (一定量を選択増菌し, 分離培養する) であっても, 安全キャビネット内で培養操作を行うべきと理解すればよろしいでしょうか。選択増菌は液体培地で行うため, エアロゾルが発生する可能性は十分あると思います。反面, 食中毒菌を検査するのであれば, 必ず安全キャビネットを設置しなければならないというのもコストやメンテなどの面で大変なのではと考えています。基礎的な質問で申し訳ありませんが, ご回答の程, よろしくお願い申し上げます。 

【回答】 
 食品衛生検査指針にある上記の内容,「バイオセーフティレベルが“2”の微生物に関して, エアロゾル発生のおそれのある操作は生物学用安全キャビネットまたは陰圧アイソレーターの中で操作する」に関する理解の質問ですが、一般的にレベル2の菌が分離されて, その菌について専門的に調べるため, 菌を濃厚に取り扱う場合と考えた方が良いのではないでしょうか。また, 食品製造業における細菌検査で, レベル2に属する菌が検出されるのは非常に稀と考えられます。そのような稀なケ_スのために, 日常業務 (多量検体をスクリ_ニング検査する) を困難にする (安全キャビネットの操作と区切られた検査室内の操作を比較したとき) のは本末転倒です。一番大切なのは, 微生物に対する基本操作が本当に行われているかの確認です。例え安全キャビネットを使っても, 基本操作が行われない限り, 室内感染 (エアロゾルだけが感染源ではありません) は起こります。 

(日水製薬・小高 秀正)
【質問者からのお礼】
 ご回答いただき, ありがとうございます。食品製造における食中毒菌検査 (スクリーニング) であれば, 基本操作の遵守を前提に, 安全キャビネットの設置は必要ないものと理解します。万が一スクリーニングで疑いが出た場合は, 確認試験において濃厚な菌体を扱うことになるわけですが, これについても基本操作の遵守により対応するものと理解します。毎々貴重な情報をいただき, ありがとうございます。今後もいろいろと質問させていただく予定ですので, 何卒よろしくお願い申し上げます。
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