06/12/19
■ 培地性能試験に用いる菌株
【質問】
 製品の無菌試験および限度試験で行う培地性能試験を培地メーカーとは別に実施したいと考えております。JP (薬局方) に記載されている使用菌株は6種類ありますが, そのなかの1ないし2種類で実施したい時に, 菌株として危険性の少ない菌を教えて頂きたいと思います。また1ないし2種類で妥当性 (第三者への説明という意味で)はあるでしょうか???

【回答】
 2006年第15改正日本薬局方解説書によりますと, 限度試験における培地の性能確認に使用する菌株にはE. coli ATCC 8739, B. subtilis ATCC 6633, S. aureus ATCC 6538, C. albicans ATCC 2091が記されており, さらに特定微生物試験としてE. coli ATCC8739, Salmonella spp. (菌株は特定せず。非病原性または病原性に弱い菌株が望ましい), P. aeruginosa ATCC 9027, S. aureus ATCC 6538が使用菌株として記されています。また無菌試験における培地の性能確認に使用する菌株には, 使用する培地にもよりますが, 液状チオグリコール酸培地ではS. aureus ATCC6538, P. aeruginosa ATCC9027, C. sporogenes ATCC19404, 変法チオグリコール酸培地ではC. sporogenes ATCC19404, SCD培地ではB. subtilis ATCC6633, C. albicans ATCC10231, A. niger ATCC16404が記されています。従って, すべての培地を1ないし2株で済ませることは無理だと考えられます。例えば, E. coliのための培地にP. aeruginosaで試験しても意味がないように, 各培地によって適切な使用菌株を選定することが重要です (培地の性能を総合的に確認するために菌株は設定されています)。

 また第3者に説明するということですが, 第3者に説明するのであれば, 「日本薬局方」に記された方法 (菌株) で行ったと報告したほうが, 報告を受ける側にとっても安心できると思われます。

(日水製薬・三品 正俊)

【質問者からのお礼】
 回答を寄せて頂き, 誠に有難うございます。今後とも宜しくお願いいたします。


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