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【質問】
血液培養の嫌気ボトルへの空気汚染に関するご質問です。嫌気ボトル内に血液を注入する際の空気汚染はどれくらいまで
(何cc) なら臨床上問題がないのでしょうか。検体血液に含まれる菌量にもよるかとは思いますが,
ご教示よろしくお願い申し上げます。
【回答】
血液培養の嫌気培養ボトルに, 厳密にいくらの空気を注入しても分離率に影響がないかという科学的に実証したデ_タは見たことがありません。“The
lesser, the better”ということでしょう。従って, 既存の知識から回答を組み立てるしかありません。
(1) 全身, 酸素に満ちたヒトに感染症を起こす嫌気性菌は比較的酸素に抵抗性がある,
(2) まして新鮮な血液は酸素に満ち溢れている, (3) 目的とする嫌気菌を素早く,
嫌気培養用の培地あるいは嫌気環境で保護してやる必要がある, 等々です。血液培養検査は,
“陽性になれば儲けもの”という検査ですから, 分離率の向上を図る必要があります。従って,
血液検体を血液ガス検査の検体と同じ感覚で取り扱えば問題はないと考えます。注射器の中に空気を入れないように,
採取したら素早く培養ボトルに注入する, 培養ボトルは絶対に“ventしない”
(好気培養ではエア針を一度刺して, 空気を入れ, 陰圧を解消する) でください。血液培養ではその場で検体を培地に注入できますが,
閉鎖性病巣からの膿汁などでは, 採取した注射器の針をゴム栓に刺して運搬する知恵が必要となります。
(琉球大学・山根 誠久)
【質問者からのお礼】
ご回答ありがとうございました。当院では, 操作手順を簡略化してマニュアルを作ろうと思いまして,
どちらのボトルから入れたらよいかを検討しました。真空採血用のホルダを使うときは,
翼状針のチューブ内の空気が入るので好気ボトルから注入とし, 通常の注射器による採血では,
空気が注射器の押し子側 (上側) に溜まるので, 嫌気ボトルから注入とするのが“the
lesser, the better” という理にかなうということになると考えます。スタッフ全員がこのことを正しく理解し,
混乱なく採血が行われるようにマニュアルを整備いたしたいと思います。
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