04/09/13
04/09/15
■ バルトネラ菌の培養について
【質問】
 はじめまして。私は久留米大学病院に勤めている検査技師です。いつも「質問箱」を拝見し, 参考にさせて頂いてます。今回はBartonella henselaeの培養方法についてお尋ねします。どうかご回答お願いします。

 1週間程前に, B. henselae疑いで血液培養ボトルが提出されたのですが, 先日, 培養機器の方で「陰性」と判定されました。しかし, 文献には1〜3週間培養には必要と書いてありました。また, 接種する培地は5%ウサギ血球と10%ヘモグロビンを加えた半流動培地 (新戸田細菌学) と記載がありました。

質問 (1) このまま血液ボトルのまま培養を続けても菌の検出は可能でしょうか。それとも血液を抜いて培地に接種した方がいいのでしょうか??? また, この菌は“猫の赤血球”に感染していると報告もありますが, 培地に接種する際は赤血球を溶血させたほうがいいのでしょうか??? 

質問 (2) 現在私の施設では, 血液を含む培地として5%羊血液寒天培地 (BBL), チョコレート寒天培地 (BBL), ブルセラHK寒天培地 (極東) を使用していますが, これらの寒天培地で代用は可能でしょうか???

厚かましいとは思いますが, B. henselaeについてアドバイスを頂けると幸いです。お忙しいとは思いますが, どうか宜しくお願いします。

【回答】
(1) Bartonella henselaeの分離は, 血液培養で3〜4週間必要です。さらに1週間毎に5〜10%のCO2, 35℃で7〜10日のサブカルチャーが必要です。従って1週間の血液培養だけでは100%の菌の検出は不可能ですから, 2〜3週間の培養時間の延長と適度のサブカルチャーを行ってください。また, 感染が強く疑われる場合は, 本菌が赤血球の中に感染していますので, 血液ボトルでの培養よりも, EDTA含有採血菅に採血した後, 溶血させて直接培地に接種, 培養することをお勧めします。

(2) 本菌の分離培地は, ウサギ血液寒天培地またはチョコレート寒天培地 (極東)での発育が良好というデータがあります。少し発育性が劣りますが, 馬血液寒天培地も使用可能です。ヒツジ血液寒天培地はかなり発育不良のようです。

〔参考文献〕

常岡 英弘ほか: Bartonella henselae 検出のための分離培地の検討. 感染症誌 78: 574〜579, 2004.

(愛媛大学・宮本 仁志)


【質問者からのお礼】
 お忙しい中, ご回答有難うございました。当施設ではウサギや馬の血液寒天培地がないので, チョコレート寒天培地で培養を行ってみようと思います。


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