■ ベロ毒素陰性のO157について | |
【質問】
初めてメールをさせていただきます。●●総合病院の■■と言います。O-157について教えていただきたいと思います。 患者は0歳11ヶ月, 男児。主訴は嘔吐。検体は便。腸重積のようで, 特に感染性腸炎を疑っているわけではないようでした。腸重積を整復して軽快したため, 退院されました。抗生剤も投与されていました。 便の培養から検出された菌をE. coliと同定 (ニッスイ: EB20でコードが“0151073”, DADE BEHRING Walk Away40のNeg Combo 6.11Jでコードが“73115010”), ソルビット分解 (陽性)。関東化学のCHROMAgar O157培地では青色のコロニーを形成し, デンカ生研の病原大腸菌混合血清3に凝集 (陽性), O-157 (陽性), MERCKのDuopath VerotoxinsでVT1 (陰性), VT2 (陰性) でした。この結果で, E. coli(O-157)としてもよいのでしょうか??? 関東化学に問い合わせたところ, CHROMAgar O157培地で青色のコロニーを形成したO-157が過去に2例あり, 2例ともベロ毒素は陽性だったそうです。今回の当院の症例ではベロ毒素が「陰性」ですので, 特に病原性もなく, 報告の義務もないので, 臨床的には問題ないと考えていますが・・・報告は「EHEC O157, ベロ毒素陰性」としたらよいのでしょうか??? ただの「E. coli」と報告すべきでしょうか??? 他に確かめる方法があるのでしょうか??? 過去にもこのような報告例がありましたでしょうか??? お忙しいところ申し訳ありませんが, ご教授くださいますようにお願いいたします。 【回答】
(近畿大学・古田 格)
1996年以来, 本邦で見られた多くの EHEC O157の特徴的性状は: (1) ソルビット陰性, H 抗原は7またはNM
この酵素活性が陽性である EHEC O157 は X-glucuronide などの発色基質を使用する分離培地上では, 通常の E. coli との鑑別が出来ません。Ratnam らの報告以後, いわゆる EHEC O157 に特化した培地 (とりわけ分離培地) に依存し過ぎてしまったことは否めないと考えます。 Ratnam S, March SB, Ahmed R, Bezanson GS, and Kasatiya S (1988): Characterization
of Escherichia coli serotype O157: H7. J. Clin. Microbiol. 26: 2006-
2012.
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