06/12/14
■ BGLB培地を用いた大腸菌群の検査
【質問】
 こんにちは。初めて質問させて頂きます。重複しているQandAが既にあったら申し訳ありません。私は, ●●大学大学院に在学中の修士1年の■■といいます。

 現在, 河川水の分析をしているのですが, 大腸菌群の検査について質問があります。BGLB培地を用いて大腸菌群の検査をしているのですが, 実はまったくといっていいほど反応がありません (陽性になりません)。気泡の発生や濁りがまったく見られず, 48時間たっても透明のままという状態が続いています。2002年度のデータがあるのですが, そのデータによるとMPN値で2,000ほどの値がでています。なので, 実験方法や培地の調整などに問題があると思うのですが, 自分ではどこでミスがあったのかわかりません。ご指導していただける先輩もいないため, 基本的な質問で申し訳ないですがよろしくお願いします。実験方法を下記しておきますので, おかしな部分がありましたらご指摘してくださいますようにお願いします。

 培地は市販されているBGLB培地40 gramを, 脱イオン水1,000 mlに溶かしてつくりました。試料水は河川水です。河川周辺に酪農地帯が多いため, 大腸菌群は多く含まれていると思います。また, 試料水の希釈用にリン酸緩衝生理食塩水を用いました。リン酸二水素カリウム6.8 gramを精製水100mlに溶解した後に1N水酸化ナトリウム水溶液 (水酸化ナトリウム40 gramを精製水1,000 mlに溶解したもの) 約35 mlを加え, 精製水で全量を200 mlとしたものを原液とし, この原液1.25 mlを生理食塩水 (塩化ナトリウム8.5 gramを精製水1, 000 mlに溶解したもの) 1,000 mlに加えました。培地, リン酸緩衝生理食塩水ともに, オートクレーブで120℃, 20分間で滅菌しました。滅菌後, ダーラム管 (6×30) を入れた使い捨て蓋付き試験管 (17×100) に培地を10 mlずつ分注しました。試験管に試料水を1 ml入れました。また, リン酸緩衝生理食塩水で10倍希釈, 100倍希釈にした試料水1 mlを試験管に加えました。ダーラム菅の中にたまっていた気泡は, 試験管に蓋をして, 撹拌することによって気泡を取り除きました。試験管に蓋をして (密閉はしてないです) 37℃, 24時間で培養をしました。実験方法は以上です。これで結果は出なかったため, トイレの水でも行ってみましたが, いずれも「陰性」でした・・・まとまりのない文章で申し訳ありません。どこかおかしなところがありましたらご指摘, よろしくお願いします。

【回答】
 大腸菌群検査の方法には, 発酵試験管法と平板寒天法があり, 質問者は発酵試験管法を実施しています。この時, 検体に栄養成分が多い食品などにはBGLB培地, 栄養成分が少ない検体の時は乳糖ブイヨンを使います。質問者の場合は栄養成分が少ない検体 (河川水) を検査していますので, 最初は乳糖ブイヨンを使います。乳糖ブイヨンに検体を接種して, 35℃_37℃で24±2時間培養してガス発生の有無の確認をします。ガスが認められなかったら, さらに培養を続け, 48±3時間まで観察します。この段階でガス産生がなかったら大腸菌群「陰性」です。ガス産生があった場合は, 1白金耳をBGLB培地へ接種して, 35℃_37℃で48±3時間培養してガス産生の有無を確認し, ガス産生を認めたBGLB培地から1白金耳をEMB培地または遠藤培地へ接種し, 集落を観察します。その後は, 完全試験として純培養し, グラム染色やIMVIC試験を行い, 大腸菌群を検査します。乳糖ブイヨンは培地組成全部を精製水で溶解し, 完全に溶解したのを確認した後, ダーラム管が入っている試験管へ10 mlずつ分注します。分注後, 121℃, 15分間オートクレーブで滅菌します。検体を10 ml接種したいときには, 2倍濃度の乳糖ブイヨンにする必要があります。以上のことに注意して再度検査してください。希釈液については, 特に問題はないと思います。参考までに, 近年, 上水試験法ではLB-BGLB法に代わり, 酵素基質培地を用いて検査するようになっています。

(日水製薬・小高 秀正)

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