■ 微生物限度試験の培地性能試験について | |
【質問】
何時も, 大変参考にさせて頂いております。私は原薬委託製造メーカーに勤務しております。弊社にてこのたび原薬の微生物限度試験 (JP14改) を行うこととなり, 色々文献などを調査していたところ培地性能試験について疑問点が出てきました。市販の培地を使用する場合: (1) “メーカーの培地性能試験成績書”をもって, 「培地性能試験結果」とすることが可能でしょうか。 (2) または, 購入培地毎に1回培地性能試験を行うことで, 培地がなくなるまで性能を保証することは可能でしょうか。 (3) 培地調製毎に, 培地性能試験を行わなければならないでしょうか。 (3) が最もよいことは充分承知しておりますが, 混釈法での試験では, 培地性能試験と限度試験を併行して行うこととなり, 培地性能試験の「適」判定の後に限度試験を行うことは不可能と思われ, 質問させて頂きました。御教授の程, 何卒宜しくお願い致します。 【回答】
(2) 乾燥培地はメ_カ_の有効期限であれば性能は維持できますが, 保管方法によって吸湿したり変色したりします。ロット番号, 開封年月日, 使用者氏名, 有効年月日, 使用目的, 保管方法など記録して保管することを勧めます。基本的には, 試験毎に培地性能試験をしてください (滅菌条件のミスを考慮して)。また, 製品の保証は培地だけでなく一連の工程で行うものです。一つ一つの作業がGMPに則って行わなければ, リスクの一つとして培地性能が関わるかもしれませんが, 他の要因も考える必要があります。回りくどくなりましたが, 培地購入時 (未開封) における培地性能はメ_カ_に責任がありますが, 開封後の培地については使用者の責任も加わります。 (3) 培地性能試験と限度試験を並行して行うことは, 労働時間の短縮や作業の効率上間違いではないと思います。培養試験結果が, 質問者の予想通りの結果であれば, 限度試験結果を読みとればよいと思います。しかし, 培養試験結果が予想通りでなければ, 限度試験はやり直してください。 上記の回答の一部は, 新訂版GMP微生物試験法 (川村邦夫・佐々木次雄・棚元健一/編, 講談社) を参考にしました。 (日水製薬・小高 秀正)
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