■ C. difficile毒素陽性患者の取り扱い | |
【質問】
病院で細菌検査を担当している検査技師です。この度, 感染委員会でClostridium difficile (CD) 毒素陽性患者に対しての院内マニュアルを作成することになり, 質問したいことがあります。 CD毒素陽性患者は個室隔離が理想なのでしょうが, 病室が少ないこともあって, 個室管理が難しい場合, 大部屋でポータブルトイレを置いて現在対応しております。先日, 患者より“臭いで周りに迷惑をかけるし, 恥ずかしいので公共のトイレを使用したい”と要望がありました。・・でも, そうすると他の患者に感染の心配もありますし・・専用トイレを設ける程の数もないし・・どうしたらよいものかと。それと, 手を骨折しているなどで, “手洗いが不自由な患者”の場合はどのように対応したらよいのでしょうか・・看護師も少なく忙しいので, なんとか出来るだけ負担のかからない方法はないものかと悩んでおります。つまらない質問かもしれませんが, ご回答の程, よろしくお願いいたします。 【回答】
手を骨折しているなどにより,“手洗いが不自由”で, ご自分でトイレに行かれる場合は, まず排便後の清拭あるいは洗浄の工夫が必要になるかと思います。ウォッシュレットやサニタリーナなどの温水洗浄便座があるトイレが利用できれば, 手洗いにそれほど神経質になることもないので, 排便後にナース・ステーションに寄ってもらって手指を拭いてもらうというのも一案かと存じます。トイレットペーパーを使用する場合は, 特に下痢症状がある場合, そもそも“不自由な手”でどうやって排便後の清拭をするかを工夫する必要があります。少なくとも, 明らかに便で手指や環境を汚してしまった場合は, 看護師が拭き取るなどの処置が必要と思われます。 ついでですが, Clostridium difficileは菌名なので, C. difficileとは略しますが, CDとは略しません。院内集団発生が疑われる場合や, toxin A陰性でも臨床的にC. difficile関連下痢症が強く疑われる症例などでは, toxin A検出だけではなく, 可能であれば菌の培養もトライしてください。 (国立感染研・加藤 はる) 【質問者からのお礼】
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