06/07/18
■ カンピロバクターの検出法について
【質問】
 初めてメールをさせて頂きます。食品の微生物検査しています■■といいます。

 カンピロバクターは鶏肉などを中心によく検出される菌であると伺っておりますが, 鶏肉の検体で検査を行ってもほとんど検出されません。原因として, 損傷菌のため, 選択培地にコロニーを形成しないのではないかと考えておりますが, 当社では, 食品衛生指針を参考に損傷菌を考慮して, 次のような手順で行っているのですが, 高い検出率で検出できる方法があれば教えていただきたいと思い, メールをさせていただきました。

(1) 検体10 gramにリン酸緩衝液を加え, ストマッカー処理をし, 10倍希釈液を調製する。

(2) 10倍希釈液1 mlをPreston液体培地10 mlに分注し, 微好気条件下で42℃, 2日間培養する。

(3) 培養液1白金耳をスキロー寒天培地に継代し, 微好気条件下で42℃, 2日間培養する。

(4) 疑わしいコロニーを血液寒天培地に継代し, 好気および微好気条件下の2通りで培養し, 微好気下でコロニーを形成し, 好気条件下でコロニーを形成しないものについて確認試験 (馬尿酸試験と酢酸インドキシル試験とAPIを用いた同定の併用) を実施する。

現在, スキロー寒天培地にコロニーを形成する検体は10%程度で, そのコロニーはすべて好気条件下でコロニーを形成するため“カンピロバクターではない”と考えております。

【回答】
 まず最初に, カンピロバクタ_だと分かっている菌株を用いて, カンピロバクタ_の純培養菌でのコロニ_観察 (色, 形, 臭いなど), 顕微鏡下での菌形態観察 (回答者は簡単な鞭毛染色について論文発表しています: J. Clin. Microbiol., 16 (5): 948〜952, 1982), 実際に培養するなどの経験をしてみることをお勧めします。食品衛生検査指針 (2004年版) に記載されているカンピロバクタ_増菌培養法 (新鮮な食品を対象とした方法) には, “食品の10倍希釈液をカンピロバクター用増菌培地10 mlに接種する”と書かれていますが, その後の文章に25 gramで行う方法も書かれています。また, 香川県環境保健研究センタ_[http://www.pref.kagawa.jp]で行った鶏肉24検体についてのカンピロバクタ_汚染調査報告によりますと, ササミ6検体が陽性 (陽性率25%), レバ_・ハツ13検体が陽性 (54%), ズリ19検体が陽性 (79%) という結果がでています。この時使用した選択分離培地は, スキロ_培地, バツラ_培地, CCDA培地の3種類です。このように, 検査に用いるサンプリング量や選択培地の種類を増やすことにより検出率は高まると考えられます。FDA[http://www.cfsan.fda.gov/~ebam/bam-7.html]のやり方も参考にしてください。

(日水製薬・小高 秀正)


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