06/02/17
■ クロストリジア測定用培地について
【質問】
 食品会社で微生物検査を行っている者です。いつも「質問箱」を参考にさせていただいております。

現在当社では, “クロストリジア”の検査を行っております。そこで質問ですが, 先日, 乾燥オニオンのクロストリジアを測定したところ, 白色のコロニーが多数出現しました。培地に記載されている鑑別法を見ると, クロストリジアは褐色〜黒色の集落を形成し, クロストリジア以外の菌は淡白色の集落を形成すると書かれています。クロストリジア測定用培地で出現する淡白色の集落にはどのような菌種が考えられるのでしょうか??? ちなみに検査方法は, 検体 10 mlをシャーレに分注し, そこに培地を15 ml注入して検体と混合し, シャーレとアネロパック・ケンキをジャーに入れ, 35℃で24時間嫌気培養を行っています。お忙しい中, 大変申し訳ありませんが, よろしくお願い致します。

【回答】
 乾燥オニオンの製造過程が不明です。その過程によりますが, 野菜であること, そして乾燥してあることから, 有芽胞の細菌の可能性が高いでしょう。また, この培地での着色は硫化鉄生成によるものです。アミノ酸あるいは硫酸塩を利用して硫化水素を産生しているということです。嫌気性培養を行っていますので, 先ずは, 土の中に芽胞として存在するが, 硫化水素を作らないClostridium butyricumなどの嫌気性のClostridium spp.を考えて下さい。また, 通性の発育を示すBacillus spp. の中の菌種でもそのような性質を示す菌種があると思います。皮膚の常在菌であるStaphylococcus spp., Micrococcus spp.も可能性があります。たくさんありそうですね。詳細は教科書でしらべてみて下さい。

(岐阜大学・渡邉 邦友)


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