06/08/10
■ 菌コロニーとディスク感受性試験
【質問】
 初めまして, 病態生理学の実験をしている大学生の■■といいます。早速ですが質問お願します。

(1) コロニーを形成している菌が単一クーロンなのはなぜですか???
(2) 抗生物質を含んだDISKの周囲に増殖を阻止した阻止円の形成はなぜ形成されるのか???

【回答】
(1) 寒天培地に細菌を含む溶液を接種し, 培養する方法は, 二次元平面に細菌細胞を展開し, ひとつ, ひとつの細菌細胞を出来るだけ重ならないように広げる, しかし, たったひとつの細菌細胞では肉眼的に識別できないから, 培養して細胞数を増やし, 肉眼的に識別できるようにするという内容をもっています。従って, ひとつの細菌細胞からひとつの菌集落 (コロニー) が形成される, すなわち単一クローンだと見なされることになります。もちろん, ひとつのコロニーが複数の細菌細胞から形成される場合もあるでしょう。細胞分裂の過程で変異する細菌細胞もあるでしょう。ただ, 特にこの考え方で問題が起きない限り, 理論的にはひとつのコロニーは単一クローンから構成されていると見なしているのです。

(2) 寒天培地の上に抗菌活性をもつ物質を含むディスクを載せると, この抗菌物質は寒天の水分で溶解し, 次第に周囲へ拡散して行きます。ディスクの中心からの距離と抗菌物質の寒天表面濃度は片対数にプロットできます。ディスクを載せた寒天の表面に, 予め細菌をまんべんなく塗布しておくと, この細菌はディスクの中心からの距離に応じて抗菌物質の影響を受けます。ディスクの中心に近い所では高い濃度の抗菌物質の影響で増殖することができなくなり, 遠い所では影響がなくなって菌が旺盛に発育してきますから, 結果としてディスクの周辺に菌の発育していない円形 (菌発育阻止円) が出現することになります。

(琉球大学・山根 誠久)


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