06/11/08
06/11/13
■ 大腸菌群検査の結果に困惑
【質問】
 初めて質問させて頂きます。健康食品メーカーにて品質管理業務を行っているのですが, 大腸菌群検査結果の解釈についてお伺いしたく, メールさせて頂きました。

 顆粒をBGLB培地に1 mlおよび10 ml各2本接種したところ, 10 ml接種したもの2本から発泡が認められ, 確定および完全試験まで進み, 「陽性」と判断しました。しかし, 同じ梱包内からサンプリングした顆粒を, 公定機関にて分析して頂いたところ, 推定試験にて「陰性」と判断されました。このようなことは度々あり, どのように判断してよいのか困っております。サンプリングの箇所により, 「陰性」だったり「陽性」だったりするのでしょうか??? また, 10 ml接種のものにこのような傾向がよく認められます。「食品衛生検査指針」にて10 mlでも行う旨が記載されていたので, 行い始めたのですが, 10 mlで発泡が認められ, 1 mlで認められない場合, どのように解釈したらよろしいのでしょうか???

 初歩的な質問かとは存じますが, どうかよいアドバイスを頂きたく, 宜しくお願い申し上げます。

【回答】
 質問の“顆粒”を1 mlおよび10 mlという意味が理解できません。公的機関 (厚生労働省指定検査機関のことと判断しました) の結果が正しいと推測します。質問者の検査方法が明記されていませんので, 「陽性」に出た原因がわかりません。回答者としてアドバイスできるのは,「完全試験まで進み」と記載されていますが, 本当に大腸菌群に属する細菌であったか否かを再確認する必要があります。また, サンプリング方法には問題がないことを確かめる必要があると思います。もし, 質問者の「陽性」となったサンプルが残っているようでしたら, 公的検査機関へ再度送って検査し, 再確認するのもよいと思います。検体が“顆粒”ということなので, 加熱工程があるため, 一般的には大腸菌群は陰性になる可能性が大です。顆粒を水で溶かすと, 小さい泡が出てくることにも注意が必要です (もし, 直接, 培地に接種する場合)。何度も重複しますが, 質問者の検査工程 (培地への接種方法や判定方法, コロニーの見方) を再確認してください。

(日水製薬・小高 秀正)

【追加質問】
 御回答ありがとうございました。質問に不備があり, 御手数をお掛けし, 誠に申し訳御座いません。

 顆粒10 gramを希釈水 (0.1%ペプトン加生理食塩水) 90 gram (ml) に溶解し, その1 mlおよび10 mlをBGLB培地へ接種しております。その後, 他の施設と公的機関とに試験方法を照会した結果, 我社のみ“「ペプトン」を入れた希釈水”を使用していることが判明しました。「食品衛生検査指針」には, 食品を扱う場合, 損傷菌を考慮する必要があると記載されていましたので, (ペプトンを) 使用しておりましたが, 公的機関においては, 損傷菌を復活させてしまう為, 基本的には使用していないとの回答でした。ですので, 今後, リン酸緩衝生理食塩水を希釈水に用いて検査を行っていくように進めております。ペプトン添加の必要性, 緩衝液の使用について, 御見解をお伺いできればと思います。お忙しいところ誠に申し訳御座いませんが, 御対応頂けます様, 宜しくお願い申し上げます。

【回答】
「損傷菌とその回復における培地からの試み」(水落慎吾, 日本防菌防黴学雑誌31 (4): 197〜205, 2003) によりますと, 加熱損傷大腸菌をリン酸緩衝生理食塩水とペプトン食塩緩衝液で25℃, 2時間放置後, 各種の培地を用いて検出したところ, ペプトン食塩緩衝液の方が回収率が良かったという報告があります。最初の質問のようなこと (質問者と公的機関の検査結果の違い) がしばしば起こり, その原因がペプトンを入れた希釈水によるものでしたら, 回答者の考えは, 損傷菌による大腸菌群の汚染を念頭に入れてペプトンを入れた希釈水で検査を継続し, どこの工程で大腸菌群が汚染しているのかを突き止めることが最優先課題と考えます。検査を実施する目的のひとつは汚染の有無と原因を正確に特定することなのですから。

(日水製薬・小高 秀正)


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