05/04/23
■ 大腸菌群でしょうか???
【質問】
 いつも勉強させていただいております。今回は, デソキシコレート培地に出たコロニーについてお聞きしたくてメールしました。写真は, デソキシコレートを重層して, 35℃で24時間培養した検体 (10倍希釈) の培地です。大きめの赤いコロニーは“大腸菌群だ”と思うのですが, 小さくて薄ピンク色のコロニーは何の菌なのでしょうか??? (光を当てて撮影してるので, 白っぽく見えるかもしれませんが, 色調はピンクもしくは赤です)。24時間以上培養すると, 大きなコロニーになるので, 試料の“カス”ではなく, なんらかの細菌であることは間違いないと思うのですが・・・24時間後では小さく, 色が薄いものが多いです。赤色以外の菌は大腸菌群ではないのでしょうか??? だとしたら, この培地に出てくるのは何の菌なのでしょうか??? 出てくる原因はなんなのでしょうか??? 

 工場内では頻繁に水を使うので, それらの水汚れから来る菌なのでしょうか??? クレブジエラ・サイトロバクター・エンテロバクターなど, 汚水細菌は大腸菌群ですよね??? これらの菌は, 大きな赤いコロニーなのでしょうか??? 最近, 製品や拭き取り検査などで, しばしばこのようなコロニーが見られます。製品中でかなりの数が検出されると, とても心配になってくるので, 是非回答, アドバイスをお願いします。

【回答】
 確かに大きめの赤いコロニーは大腸菌群と考えられます。デソキシコレート培地を用いた大腸菌群の検査は, 35±1℃で20±2時間培養して定型的集落 (赤色集落) の確認をします。他方, 重層して小さく薄ピンク色を形成する細菌は, 食品衛生でいう大腸菌群にあてはまらない場合が多いようです。水由来だとすると, Aeromonas, Kluyvera, Rahnellaなどが考えられます。“たらこ”由来だとしたら, Serratia, Yersiniaなどが考えられます。いずれの菌も乳糖を分解しますが, 食品衛生上の大腸菌群ではありません。また, デソキシコレート培地で大腸菌群のような定型的集落を形成しません。Klebsiella, Citrobacter, Enterobacterは大腸菌群で, デソキシコレート培地で大きな赤いコロニ-を形成します。最後に, コロニーを見るだけで, 何菌かわかれば非常に助かりますが, 現実は厳しく, ほとんどの人は判定する時に悩んでいるはずです。大腸菌群と思うコロニーとそうでないと思うコロニーについて, グラム染色, 乳糖ブイヨン, IMVIC試験などをして確認することを勧めます。当たる確率が高くなれば, 日頃の検査にも自信がつきます。

(日水製薬・小高 秀正)

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