04/11/16
■ 大腸菌群の判定について
【質問】
 拝啓 いつもホームページ参考にさせていただいております。食品素材および食品添加物メーカーの品質管理課に勤務しております。大腸菌群の測定方法・判定についてお伺いしたいことがあります。

 ある検体で, BGLB培地でガス産生, pH低下がみられたため, EMB培地に画線・培養 (37℃, 24時間) したところ, コロニーは確認できませんでした。そこで, 一般生菌数を測定した標準寒天培地に生育していたコロニーをデソキシコーレート培地で混釈培養 (37℃, 24時間) したところ, コロニーが認められなかったので, さらに冷蔵庫 (4℃) で2日間ほどおいて置いたところ, 赤色のコロニーが培地低層で生育してきました。しかし, このコロニーをEMB培地に画線しましたが, 生育しませんでした。

(1) この検体の大腸菌群は「陰性」と判定していいのでしょうか???

(2) また, こういった条件で生育する菌としては, どういったものが考えられるのでしょうか???

分かる範囲で教えていただきたいと思います。検体は“カゼインナトリウム”です。

【回答】
(1) この検体の大腸菌群は「陰性」と判定していいのでしょうか???

質問者の一連の操作方法に間違いがなければ「陰性」と判定してもよい”と思います。しかし, 通常はBGLB培地ではpHの低下は観察できません。乳糖からの酸の産生とガスの産生を確認するためにはLB培地にダ_ラム管を入れて試験することを推奨します。一般的には, 大腸菌群の生育はEMB培地上で良好です。

(2) また, こういった条件で生育する菌としては, どういったものが考えられる のでしょうか???

 標準寒天培地のどの部分 (表面または培地低層) のコロニ_をデソキシコレ_トで混釈培養したのかが不明です。また, 生育したコロニ_が大腸菌群に属する菌か否かをみるためには, 混釈培養よりも画線塗抹培養の方がよいと思います。釣菌部位やグラム染色所見によって, 考えられる菌種が異なります。従って, この質問には回答できません。

(日水製薬・小高 秀正)


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