04/11/10
■ 大腸菌群の検査について
【質問】
 こんにちは。メールにて失礼します。大腸菌群の検査について教えてください。弊社では, 大腸菌群の検査はデソキコーレイト寒天培地のみを使用して「推定陽性」としています。検査の信頼性を上げるため, 他の培地の使用を検討しておりますので, 下記の質問についてお手数ですが回答願います。

[質問1]
 デソキシコーレイト寒天培地, EMB培地ともに, 乳糖分解によって生じる酸によってコロニーが出来るようですが, 確認試験でデソキシコーレイト寒天培地のコロニーをEMB培地に植えるのは, EMB培地の方が選択性が高いからですか???

[質問2]
 大腸菌群の検査手順は, デソキシコーレイト寒天培地→EMB培地→LB培地 とありますが, LB培地の代わりにBGLB培地を使用してもよいのでしょうか???

[質問3]
 デソキシコーレイト培地→BGLB培地という順番で試験し, デソキシコーレイト寒天培地で乳糖分解による酸を確認して, BGLB培地でガス発生を確認するという検査方法では駄目でしょうか???

以上, よろしく御願い致します。

【回答】

[回答1] 選択性は, 選択物質としてデオキシコ_ル酸ナトリムを使用しているデソキシコーレイト寒天培地の方が, 選択物質として色素を使用しているEMB培地より高いです。EMB培地に植えるのは, EMB培地が大腸菌群の鑑別に優れているからです。

[回答2] BGLB培地は選択物質が含まれている培地です。LB培地は非選択培地です。大腸菌群の定義にあるように, 乳糖を分解してガス産生と酸産生を見るための試験ですから, なるべく菌に障害が少ない培地を選ぶのが通常のやり方です。またBGLB培地では, 乳糖からのガス産生は確認できますが, 酸の産生は確認できません。

[回答3] 「デソキシコーレイト寒天培地で乳糖分解による酸を確認して」とありますが, デソキシコーレイト寒天培地で“本当の乳糖分解菌”とデソキシコレ_ト寒天培地の色素を取り込む菌や乳糖非分解にもかかわらず淡く赤みを帯びる菌との区別は非常に難しいです。ですから, 乳糖の分解による酸とガスの産生の確認は, 両方の性状を確認できるLB培地の使用を推奨します。

(日水製薬・小高 秀正)


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