05/01/31
05/02/01
■ 大腸菌群検査を定性試験から定量試験に
【質問】
 いつもホームページを拝見しており, とても参考になっております。さて, 標記の件ですが, 下記の通り疑問がありますのでご回答頂けますようよろしくお願い申し上げます (細菌検査を専門としておりませんので, 方向違いの質問や内容でしたら申し訳ありません)。

弊社では, カット野菜を製造していますが, 検査室がないために細菌検査を他検査機関へ依頼しております。大腸菌群の検査結果が「陽性」,「陰性」のみの記載となっているため, 大腸菌群数の記載を依頼しましたが, 「あくまでも目安に過ぎないので, 記載は出来ない」との回答をもらいました。また, もしどうしても菌数が必要ならばMPN法しかないとのことです。検査方法は, デソキシコレート寒天培地, 次にEMB培地, 次に乳糖ブイヨン発酵管, 最後に寒天斜面培地となっています。

この検査方法では, 大腸菌群数の測定は無理なのでしょうか??? また, この測定方法で菌数を測定した場合とMPN法では, かなり誤差がでるのでしょうか???

【回答】
 2004年版「食品衛生検査指針」によりますと, 大腸菌群数が多い場合には, デソキシコレート寒天培地の混釈培養で赤色集落を“推定大腸菌群”として菌数を出すことが出来ます。この時の菌数が, 大腸菌群数として記載されることがありますが, デソキシコレート寒天培地から大腸菌群を疑うコロニ_を完全試験し, 大腸菌群と確認されたコロニ_の割合から1平板あたりの菌数を算出して, 希釈倍数を乗じて1 グラム当たりの大腸菌群数を求めます。MPN法は, BGLB培地で推定試験, EMB培地で確定試験, 乳糖ブイヨン発酵管で完全試験の3段階により陽性試験管を判断し, 陽性試験管数からMPN表を用いて計算します。カット野菜450検体の大腸菌群数を調査した結果, 383検体に10^1〜10^6 CFU/グラム認めたという報告 (小沼博隆, 食品衛生研究. Vol. 45: 25〜37, 1995)があります。このことより, デソキシコレート寒天培地の混釈培養で大腸菌群数の測定は無理ではないと思います。しかし, 依頼された検査機関としては, 信頼ある検査結果を出すために膨大な仕事量が発生します。その結果, 検査成績を知るために検査コストと時間がかかります。デソキシコレート寒天培地による菌数測定は明確な菌数が得られますが, MPN法による結果の解釈は, 表から得られた値と95%信頼限界の上限と下限を考察に含めなければなりません。

(日水製薬・小高 秀正)


【質問者からのお礼】
 ご回答ありがとうございます。お忙しい中, 大変ご丁寧な説明を頂き感謝しております。心よりお礼申し上げます。


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