06/09/07
■ デオキシコーレート培地の調製
【質問】
 お世話になります。いつもWEBサイトを参考にさせていただいております。今回は質問をさせて頂きます。

 乳業の工場で検査を担当している者です。乳等省令上の規格である大腸菌群の検査について初歩的な質問をさせて頂きます。質問内容は培地の調整方法です。通常, 検査結果を24時間以内に確認するといった見地から, ラインではデオキシコーレート培地を使用しております。選択性の変化からだと思いますが“高圧蒸気滅菌不可”となっています。また, 日本薬学会編の衛生試験法注解の操作法では「あらかじめ加温溶解した・・」と漠然とした表現となっており, 熱履歴の目安がありません。寒天のツブツブがなくなったのを終点にしますが, 量が少ない場合, 量が多い場合で加温時間が異なり, 色調がかなり違ってくるのが気になります。この条件の違いは検査方法に折込まれているのでしょうか???また, 電子レンジで溶解すると鮮やかな赤が残り, 熱履歴が少ないような感じがします。電子レンジの加温のほうが条件的に良いと感じるのですが「あらかじめ加温溶解した・・」の解釈に加えてもよろしいのでしょうか??? 御意見を頂きたいと思います。

【回答】
 電子レンジによる加温溶解は,「あらかじめ加温溶解した・・」の解釈に加えても良いと思います。電子レンジの弱点は, コルベンのような口が狭い容器で培地を溶解すると, 突沸して培地が吹きこぼれてしまい, 逆にビ_カ_のような広口で培地を溶解すると, その後の保温が難しいことです。その点, オ_トクレ_ブなどの機器を使いますと, 温度と時間を設定し, 培地を入れれば, その他の作業に取りかかれます。回答者の経験ですと, デオキシコーレート培地を加温溶解する時は, 100℃, 30分以内を心がけています。この条件ですと, 1000 ml以下の量でしたら, 培地の品質に影響しません。細菌学実習提要 第5版 (医科学研究所学友会編, 丸善) には,「糖加培地などで100℃, 15分滅菌と指定されている場合には, 所要の時間がきたら流水で冷却する意味も含まれている」と記載されています。

(日水製薬・小高 秀正)

【追加質問】
 お忙しい中のご回答ありがとうございました。引っかかっていた疑問に対してのお答え, スッキリしました。現在, 溶解後は50℃の恒温器で保管して随時使用しているのですが, やはり色調が変化していきます。使いきりの目安時間とかの推奨はありますでしょうか???

【回答】
 朝9時から夕刻6時までの就業時間として書きます。朝出勤し, 培地を加温溶解します。その間に検体を調製したり, 希釈したりしてシャ_レに各検体を入れます。その作業中, 培地の溶解が終了しますから, ウオ_タ_バス (50℃) に入れます。昼食前に混釈を終了し, 培地を固化させるためしばらく室温に放置します。午後3時か4時頃にすべての培地が固化したことを確認し, 同じ培地で重層します。再度, 培地が固化するのを待って孵卵器に入れて培養します。回答者は, この一連の作業中において色調が変化したという経験はありません。回答としましては, 培地溶解後6_7時間位 (根拠となるデ_タなし) を目安にしてみたらいかがでしょうか。当社では, 菌株サ_ベイを行っていますので, これに参加されれば, 培地が正しく調製され, 使われているか否かがチェックできます。

(日水製薬・小高 秀正)


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