06/07/27
■ “毒素原生大腸菌”について
【質問】
 いつも勉強させてもらっています。病院の先生とのやり取りで分からないことがありまして質問させてください。血便の下痢原因菌の検出でE. coli O25が検出され, 分類では“毒素原生大腸菌”に入るといった場合, LT, STの検出を行って産生が認められれば“毒素原生大腸菌”と判断できると思いますが, LT, STの検査を実施できない場合はどのように病院の先生に話をしたらよいでしょうか??? 保健所などに依頼をしたほうがよいのでしょうか???

 また, E. coli O25であっても, ベロトキシン産生の菌株も存在すると思われるのですが, どう判断をしたらよいのでしょうか??? この場合は一過性のものと考え, 再提出してもらい, 確認をしたほうがよいでしょうか???

【回答】
 E. coli O25は“毒素原性大腸菌”に分類されます。毒素原性大腸菌ではコレラ様水様性下痢便が認められるため, どうも便の性状が違うように思われます。また, 東南アジアなどへの旅行者の下痢症として分離されることが多いようですから, 海外渡航歴を確認されてはいかがでしょうか。血便ということから推察しますと腸管出血性大腸菌の可能性も考えられますのでエンテロトキシン (LTまたはST) やベロ毒素の確認も勧めます。E. coli O25が純培養状に優位に発育が認められているのであれば (他にKlebsiealla oxytocaは発育していなかったでしょうか) 臨床の先生への報告は、E. coli O25が下痢原因菌の可能性ありと報告されてはいかがでしょうか。再提出についても先生と相談してください。

(愛媛大学・村上 忍)


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