05/04/14
■ ドリンク剤の保存効力試験 (菌の液体培養)
【質問】
 ドリンク剤の保存効力試験を実施したいと考えています。強制接種菌の培養を行っていますがうまくいきません。ご意見を聞かせていただければ幸いです。 

 強制接種する菌は細菌3種 (E. coli, P. aeruginosa, S. aureus) と真菌2種 (C. albicans, A. niger) を予定しています。ともに継代保存菌を寒天培地で前培養の後, 細菌3種は滅菌生理食塩水50 mlにコロニー4〜5個分を加え, 35℃にて培養。C. albicansも同様の操作をし, 25℃にて培養。A. nigerは胞子がつくまで前培養し, シャーレに直接0.05%ポソルベート80を添加した滅菌生理食塩水を加えて, さらにガーゼでこし, 接種菌液としました。E. coliは24時間ほどで濁りが出てきましたが, 細菌の残り2種とC. albicansは48時間以上培養してみましたが, 濁りが見られませんでした。それぞれの培養に適した温度, 培養条件, 濁りが見られるようになるまでにかかる時間など, 教えていただけませんか??? また, 手順が分かり難いとは思いますが, 気になるところがあれば指摘をお願いします。

【回答】
 新訂版GMP微生物試験法 (川村邦夫・佐々木次雄・棚元憲一編、講談社サイエンティフィク) の「9. 保存効力試験法」に書かれているところから抜粋して記載します。日局の被検菌株は, 製剤の製造, 使用もしくは保存中に環境から混入するおそれのある微生物として指定している (質問者の記載してある微生物)。指定菌以外にも, 製剤の特殊性や特定の製造工程からみて, 混入して増殖するおそれのある微生物を用いることも記載されている。製剤に被検菌株を接種したとき, 10^5_10^6 CFU/mlになるようにする。また, 接種菌液量は製剤量の1/100以下にする。保存温度は20_25℃で, 7, 14, 21, 28日目に生菌数を測定する。生菌数の経時変化は, 試験開始時の菌数を100とし, 百分率で表す。試験期間中, 外観変化 (色調, 異臭の発生など) を記録する。カビの場合は, 製品表面にのみに発育するので, 製剤を均一に混合するとカビが希釈され, 生菌数としては少なくなる場合があるので, カビについては試料中の生菌数よりも, 外観を詳細に観察することが重要である。

 質問者の質問の意図がよく理解できませんでした。そのため, 質問者に再確認してほしい部分のみを記載しました。

(日水製薬・小高 秀正)

 どうも質問者に誤解があるように感じます。「保存効力試験」は, まず被検菌株を最も条件のよい状態 (栄養の悪い滅菌生理食塩水ではなく) で 10^7〜10^8 colony forming units (CFU)/ml以上に培養, 増殖させ, その1/100量を製剤に接種して (菌濃度は100倍に希釈される) 保存し, 製剤中の生菌数を経時的に定量していく試験だと思うのですが・・・

(琉球大学・山根 誠久)

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