■ 婦人科検体からSalmonella arizona | |
【質問】
はじめまして。私は○×県立中央病院細菌検査室に勤務しております。いつも「質問箱」を拝見させていただいております。 先日, 婦人科の40歳代の患者の膣分泌物からSalmonella sp.が検出されました。TSI, SIM, VP, LIM, SCではSalmonella と思われるのですが, “抗血清では凝集がありません”。WalkawayとクリスタルGPで同定すると, Salmonella arizonaとなりました。ONPGは陽性で, “土のような匂い”があります。この菌はSalmonella arizonaと考えてよろしいでしょうか???。また, Salmonella arizonaの検出頻度はどれくらいでしょうか。よろしくお願いします。 【回答】
自動機器などによる同定で,時折,大腸菌との鑑別が必要になることがありますが,“TSI, SIM, VP, LIM, SCではサルモネラと思われる”と記載されていますので,まず大腸菌は否定されると思います。加えてサルモネラの抗血清に凝集せず,さらに二つの方法 (Walkaway,クリスタル) で同定されたということから判断すれば,分離菌はS. arizonae と考えてよいのではないかと思います。同定確率が高ければ問題はないと思います (クリスタルGPはグラム陽性菌用と思います。クリスタルE/NFなどではないでしょうか)。S. arizonae の検出頻度については,先にも述べましたように本邦での報告は非常に少ないと思います。免疫能が正常であれば無症状で経過するか,発症しても軽度であると推測されますので,論文や統計上の数字としては表れにくいのではないかと思われます。 (公立玉名中央病院・永田 邦昭)
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