■ ひとつの標準菌株が複数のATCC番号をもつ!!?? | |
【質問】
いつも楽しみに質問箱を拝見しています。○×製薬・品質管理部で微生物試験を担当しております。教えていただきたいのですが・・・ ATCC (American Type Culture Collection) などの標準菌供給機関で, 同じ菌で多くのATCC No. をもつ菌株があります。同じ標準菌株で, 複数のATCC No.のものがある場合, その違いはどうのような点にあるのでしょうか??? 生化学的性状やDNA配列が異なるものなのでしょうか??? それとも分離された部位, 分離した日時, 分与先などの違いだけなのでしょうか??? 例えば: ATCC 9027はATCCのカタログでは
ATCC 27853でも
という記載があり, この場合は同じ菌株と判断して問題ないのでしょうか??? また, 日本薬局方で菌株について, 例えば「緑膿菌であればATCC 9027, NCIB 8628, IFO13275“もしくはこれらと同等の菌株”」という記載がありますが, “同等の菌株”といった場合にどのように考えればよろしいのでしょうか??? 唐突な質問で大変申し訳ありませんが, お教え下さい。 【回答】
日本薬局方の“同等の菌株”というのは難問です。ATCC 9027の場合, 同一株で保存機関の異なるものが9ナンバーあります(BUCSAV 278; CCM 1961; CIP 82.118; DSM 1128; IAM 10374; IFO 13275; NCIMB 8626; NRRL B-800; R. Hugh 813)。これらはATCC 9027株に記載されている菌株由来機関のナンバーであり, 厳密に言えば, これらが“同等の菌株”ということになります。なお, 保存機関名IFOは財団法人発酵研究所の菌株略称ですが, 現在は製品評価基盤機構が管理を引継ぎNBRCナンバーに変わっています。 〔参考〕
(京都大学・田中 美智男)
【質問者からのお礼】
丁寧に回答していただき, 有難うございました。いろいろ参考になりました。これからも宜しくお願いします。 |